コロナ禍で苦悩する五輪ホストタウン

東京五輪・パラリンピックの各国選手団を迎えるホストタウンが、収束が見えない新型コロナウイルスの影響に翻弄されている。五輪開幕まで23日で半年。政府は各自治体に対して徹底したコロナ対策を求め、目玉だった住民との交流事業は大会後に行うことを推奨。招聘(しょうへい)する相手国によってコロナ感染状況は異なり、各自治体は思うような準備を進められていない。
■宿泊先が倒産
「開催を信じて準備しているが、本音を言えば、開催するにしてもしないにしても早く決めてほしい」
デンマークとニュージーランド(NZ)のホストタウン・大津市。官民でつくるホストタウン事業の実行委員会事務局の村田惣一郎さんは、こう吐露した。
NZ選手団の宿舎として確保していた琵琶湖畔のホテルが昨年4月、コロナ禍のあおりで倒産。急遽(きゅうきょ)代替のホテルを仮押さえしたが、宿舎には一般客と接触しない移動ルートや専用の食事場所を確保するよう求められており、改めて対応を余儀なくされている。
昨年11月に政府が公表したホストタウン向けのガイドライン作成の手引には、宿舎以外でも感染防止の徹底を求める項目が並ぶ。大会前に選手と市民が接触するようなイベントを控えることも要請した。
東ティモールのキャンプ地である長野県伊那市は、市民との事前交流を行わないばかりか、大会後の交流イベントも実施しない見通しという。担当者は「東ティモールは発展途上国で医療体制が整っておらず、新型コロナウイルスを国に持って帰ってしまうことを懸念している」と話す。
■オンラインで対応
一方、コロナ禍で広がったリモート技術を活用し、「つながり」を保とうという動きもある。
関西最多の7カ国(フランス、英国、オーストラリア、クロアチア、カナダ、ネパール、NZ)のホストタウンに登録されている神戸市は昨年10月以降、フランス、豪州、NZの各選手団と市内の中高生らのオンライン交流会を実施。選手らが普段の練習方法や五輪への意気込みなどを伝えた。