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五輪聖火ランナー 千葉県旭市防災資料館長の戸井穣(とい・ゆたか)さん(75) 津波で被災したまちに「元気取り戻したい」

 50年間住む旭市飯岡地区は、東日本大震災で津波に襲われ、多くの死傷者と家屋被害が出るなど県内最大の被災地となった。あれから8年9カ月がたった現在、地域は周辺と比べて少子高齢化が著しく、自宅のある横根東浜区は世帯数が半減した。

 「まちに元気を取り戻すため、一生懸命走りたい。重責を果たすために体力づくりも始めた」と聖火ランナーに選ばれた心境を語る。

 千葉県警の警察官として、白バイ隊や高速隊など交通畑を歩んだ。定年退職後、飯岡地区の区長会長を務めていた当時に震災が起き、津波被災の記憶を語り継ぐ活動に参加した。津波で更地となった宅地に木々や花などを植えることで、被災の記憶を語り継ぎながら、地域に笑顔を取り戻そうと「花と緑で旭を元気にするプロジェクト協議会」を立ち上げた。

 震災の記録を展示するため市が平成26年7月に開設した防災資料館の館長も務め、防災士の資格を取得して防災教室を開催。地元の小中学生や県内外から視察に訪れる団体などに津波の恐ろしさや自主避難の重要性を伝えている。

 聖火リレーが通過する海岸沿いは、震災時に最大7・6メートルの津波が押し寄せた。現在は堤防のかさ上げなどの防災対策がなされ、家を失った住民らは災害公営住宅に入居するなど、震災の爪痕は消えつつある。ただ、「目に見える復興は進んできたが、見えない部分で苦しんでいる人はまだいる」とこぼす。いまだに行方不明の男性の家族が「ひょっこり帰ってくるような気がする」と口にしたり、災害公営住宅で暮らす人から「もう家は建てられないから」といった話を聞いたりすると、いたたまれない気持ちとともに、もどかしさを感じる。

 来年7月3日に聖火が通過する「いいおかみなと公園」から「いいおかユートピアセンター」の区間には、地元の小中学生やボランティアとともに花木を植え育ててきたコミュニティーガーデンが3カ所ある。夏場に咲く花は少ないため、7月から10月ごろに見頃を迎えるハイビスカスの仲間「タイタンビカス」の苗を取り寄せ、11月に植えることができた。聖火リレーの時期には赤、白、ピンクの大輪を咲かせることができそうだという。

 聖火ランナーには、これまで植栽などの活動に参加した市立飯岡中学校の在校生と卒業生らがグループランナーとして走ることも決まった。「子供たちと一緒に走れることが何よりもうれしい。まちぐるみで聖火リレーを盛り上げたい」と力強く願いを語った。

(城之内和義)

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