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2020年に金メダルを狙うウィルチェアーラグビー日本代表、国際対抗戦で優勝!

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 車いすラグビーの国際対抗戦「2018ジャパンパラ ウィルチェアーラグビー競技大会」が5月24日から27日まで、千葉市の千葉ポートアリーナで開かれ、日本(世界ランキング4位)、イギリス(5位)、スウェーデン(6位)、フランス(7位)の4チームが熱戦を繰り広げた。2016年リオデジャネイロ・パラリンピックで銅メダルを獲得した日本は、決勝でイギリスに53-46で勝ち、優勝を果たした。MVPには日本の池崎大輔選手が選ばれた。3位決定戦はフランスがスウェーデンを54-32で下した。

 優勝メダルをかけて記念撮影する日本代表チーム
 優勝メダルをかけて記念撮影する日本代表チーム

 大会は出場4チームが2試合総当たりの予選リーグを戦い、上位2チームが決勝に進む方式で行われた。日本とイギリスはともに5勝1敗で、直接対決も1勝1敗だったが、当該対戦の得失点差で日本が1位扱いで決勝に進んだ。

 3度目と対戦となった決勝は、序盤から日本が優位に立った。攻めては池崎選手の突破力、キャプテン・池透暢選手の正確な縦パス、島川慎一選手のスピードを生かしてトライを重ねる一方、ディフェンスでも相手にプレッシャーをかけ続け、ターンオーバーからのトライも奪った。第1ピリオドで12-9とリードし、第2ピリオドも攻守にゲームを支配。26-20と6点をリードして折り返し、最終的には53-46と7点の差をつけて快勝した。

 大会のMVPに輝いた池崎選手(右)
 大会のMVPに輝いた池崎選手(右)

 日本は優勝という結果よりも、さまざまなラインナップ(選手の組み合わせ)を試しながら、習熟度を高めることを大きなテーマとしていたが、そうした中でも勝ち切った。日本を率いるケビン・オアー・ヘッドコーチ(HC)は「イギリス、アメリカ、オーストラリア、日本が金メダルを争う世界の4強であり、そのイギリスに勝った意義は大きい」と満足げに収穫を語った。キャプテンの池選手も「新しいラインを試しながら、決勝でイギリスに勝てた。7点差の勝ちでイギリスにダメージを与えることができたと思う」と充実した表情で大会を振り返った。

 日本のキャプテンを務める池選手(中央)
 日本のキャプテンを務める池選手(中央)

 ウィルチェアーラグビーは1チーム最大12選手で編成され、コート上では4選手がプレーできる。選手には障害の程度によって最小0.5点から最大3.5点まで0.5点刻みで持ち点が設定され、障害が重いほど持ち点は小さくなり、軽いほど大きくなる。コート上の4選手は、合計8点以内で編成する。今大会の日本の一例を挙げれば、池(3.0点)、池崎(3.0点)、若山英史(1.0点)、今井友明(1.0点)の4選手といった具合だ。持ち点の大きい選手はハイポインターと呼ばれ、攻守の要となる。持ち点の小さいローポインターは、一般に守備的な役割を担いながら攻撃にも参加する。

 なお、4選手の中に女子選手が含まれる場合は、1選手あたり0.5点の追加ポイントが許可され、8点を超えることができる。決勝での日本の実例を挙げると、倉橋香衣(0.5点)、島川(3.0点)、池(3.0)、羽賀理之(2.0)の4選手で構成するラインナップなどがあった。合計点は8.5点だが、倉橋選手が入っているため、0.5点の追加が認められた。

 この大会で日本は、「3点、3点、1点、1点」や「3点、3点、1.5点、0.5点」という組み合わせを中心にラインを組んだ。ローテーションで出場した池崎、池、島川の3点選手は持ち前の力を十二分に発揮。ローポインターもそれぞれの長所をアピールした。1.5点の乗松聖矢選手や1.0点の若山選手はスピードと高いパスキャッチ能力を見せ、トライを奪った。

 MVPを獲得した池崎選手は「ハイポインターだけでなく、ローポインターでも、スペースがあればパスをしてトライを取る。みんなでスコアして戦うスタイルになってきている」とチーム力の上昇に自信を深めた。

 さらに、女性の倉橋選手を投入するオプションも繰り返しテストした。この場合のラインナップは「3点、3点、2点、0.5点」が軸。倉橋選手が入ることで0.5点が加算され、より持ち点の高い選手を起用できるメリットがある。

 代表入りして約1年となった倉橋選手は、実戦の中で成長した姿を披露した。決勝では持ち点が上のイギリス選手の動きをたびたび抑え、チームの勝利に貢献した。0.5点の倉橋選手が、イギリスの2点選手を抑えたプレーもあり、この場面にコート上にいる残り3選手の合計点は、日本が8点、イギリスが6点。あくまでも数字の単純計算だが、こういう状況が多ければ多いほど、トライやターンオーバーを奪いやすくなる。

 相手選手の動きを封じる倉橋選手(左)
 相手選手の動きを封じる倉橋選手(左)

 その倉橋選手は「まだまだ、やらなければならないことが多い。スピードが遅いし、ボールを投げる力も足りない。一瞬の判断力も遅い」と冷静に自己分析する一方で、「1年前は『次に何をしよう』と考えられなかったが、今回は言われた戦術の中で『こう動こう』と考えられるようになった」と進歩を実感しているという。

 ときには大柄なハイポインターから強烈なタックルを浴びせられたが、「当たりが強くて重いけど、わたしに来てくれたらラッキー。その分、周りが有利になっているから」と頼もしい。

 オアーHCは「倉橋は発展途上だが、お粗末ではない。進歩している。われわれのチームにとって欠かすことのできない存在であり、今後ますます成長してくれるだろう」と戦力として大きな期待を寄せる。

 試合中に指示を出すオアーHC
 試合中に指示を出すオアーHC

 様々なラインナップを高いレベルで自在に操れれば、試合運びが多彩になり、相手は的を絞りにくくなる。プレー時間を分担しやすくもなり、選手の体力消耗を抑え、よりフレッシュな状態で戦えるメリットもある。

 オアーHCは、リオデジャネイロ・パラリンピックでは、3位決定戦で日本に敗れたカナダを率い、アテネ大会ではアメリカ監督として「銅」、ロンドン大会ではカナダ監督として「銀」を獲得している経験豊富な指導者。東京大会での日本の目標を「金メダルを獲ること」と言い切る。

 リオ大会では、オーストラリアが「金」、アメリカが「銀」、日本が「銅」、カナダが4位、イギリスが5位という結果だったが、オーストラリア以外の4チームにも「金」のチャンスはあった。日本はリオ「銅」の原動力となった世界でもトップクラスの池崎、池、島川の3選手を擁しており、東京大会に向けて悲観する要素はないが、楽観もできない。他国もレベルアップを図っており、日本は相手国に細かく分析されてもいる。池崎選手は「自分や池へのマークを見ると、研究されていると感じる」と今大会を通じての印象を語る。

 試合の合間に行われた体験コーナーに参加した高橋尚子さん。選手に激しいタックルを受け(写真上左、上右)、インタビューで「すごい衝撃でした」と驚きの表情(下)
 試合の合間に行われた体験コーナーに参加した高橋尚子さん。選手に激しいタックルを受け(写真上左、上右)、インタビューで「すごい衝撃でした」と驚きの表情(下)

 今年は2020年東京パラリンピックでの金メダルに向け、6月にカナダ・カップ、8月に世界選手権(オーストラリア)と重要な国際試合が続く。キャプテンの池選手は「2020年に自分たちは(優勝チームに)『なるぞ』ではなく、『なれるんだ』というところに持っていくためにも勝つことが重要。トップに上がる経験が自信につながる」とタイトル獲得に意気込む。その重要な戦いを前に今大会で幸先良く優勝。悲願の2020年の「金」へ、確かな一歩を踏み出した。(フジテレビ)

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