NPO法人が水質調査 “聖地”守る地道な活動

五輪のサーフポイントから 千葉県一宮町(中)
海水温の測定や海水の採取を行うNPO法人「海のこえ」のメンバー=千葉県一宮町の釣ケ崎海岸(長谷裕太撮影)

 「自分たちの海の状況をまず知る。そこから、今後の海岸環境のことを考えていく」-。7月末に行われた定期水質調査活動中に、NPO法人「海のこえ」(千葉県一宮町)理事長の秦和範さん(55)が活動の意義を語った。オリンピック開催地にも決定し、今後は世界的なサーフィンの“聖地”となることも期待される、同町の釣ケ崎海岸をはじめとした千葉のサーフポイント。その環境保全のために汗を流す。

 ■原発事故が契機

 海のこえはサーファーによる環境保護団体「サーフライダーファウンデーションジャパン」を前身とするNPO法人で、平成28年に設立。約30人のメンバーで活動している。競技サーフィンのオリンピック開催地に選ばれた釣ケ崎海岸をはじめ、いずれも千葉県内の太東(いすみ市)、一松(長生村)、東浪見(一宮町)、一宮(同)の計5カ所のサーフポイントで毎月末に定期水質調査を行うなどの活動を続けている。

 「きっかけは東日本大震災だった」と秦さんは語る。東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所事故で放射性物質の汚染が問題視され、千葉県内で開催された世界大会に海外選手が出場しないといった行動がみられるようになったためだ。「安全なサーフィンを楽しめるかどうかをしっかりと、この目で確かめたい」と思いを明かす。

 取材に訪れた日は午前9時に海岸近くに約10人が集合。サーフポイントの気温と水温、放射線量調査で空間線量を測定するほか、海底土や海水を採取。

 海水はその後、大腸菌やアンモニア性窒素の数値など8項目を調べ、海底土とともに都内にある専門の研究所に送付。研究所では放射性セシウムの検査を行う。検査結果はホームページなどで公表し、千葉のサーフポイントの安全性を担保する仕組みとなっている。

 ■根底に海への愛

 活動に参加していたいすみ市在住のプロボディーボーダー、高瀬ひろみさん(35)は「自分は海で多くの活動をさせてもらった。今度は自分が海のために少しでも貢献したいと思い、活動を続けている」と語った。

 海のこえでは水質調査のほか、調査結果を基に作成した海の保全活動に関した紙芝居やサーフィンの普及活動を行う「出前授業」や、年1回海岸で拾ったゴミの種類を分別しホームページで公表する活動も続けている。

 「活動を拡大して、検査項目や検査場所を増やしたい」と秦さん。ただ、活動資金などの課題も。「地道に活動を続けていくことで、多くの人に知ってもらいたい」と話した。

 安全にサーフィンを楽しめる“聖地”であり続けられるように。活動は終わることはない。