【五輪のサーフポイントから 千葉県一宮町】(上)「なみのり甲子園」初開催 大会からオリンピアンを  - 産経ニュース

【五輪のサーフポイントから 千葉県一宮町】(上)「なみのり甲子園」初開催 大会からオリンピアンを 

第1回全国高校サーフィン選手権で技を披露する高校生=12日、千葉県一宮町東浪見の釣ケ崎海岸(長谷裕太撮影)
千葉県一宮町・釣ケ崎海岸
 「これが第一歩。ここからの積み上げが大切」-。12日、2020東京五輪のサーフィン種目開催地に選ばれた、千葉県一宮町の釣ケ崎海岸で、初の高校生日本一サーファーを決める「第1回全国高校サーフィン選手権(なみのり甲子園)」が開催される中、大会実行委員長の蛸(たこ)操(みさお)さん(65)は静かに語った。オリンピック競技となり、“スポーツ”としてのサーフィンに注目が集まる中で日本のサーフィン界をどれだけ盛り上げていけるのか、試行錯誤の日々が続く。
 競技サーフィンは規定時間内に乗った波の高さや技の難易度などで審判員が得点をつけ、うち点数の高い2本の合計点で争う採点競技だ。日本サーフィン連盟によると、日本のサーフィン人口は約200万人と比較的多いが、そのうち競技としてのサーフィンを行っているのが約1万5千人と、まだまだ“スポーツ”としての認知度は低く、国内の選手を育成していく上での課題となっている。
 「サーファーも高齢化が進んでいる。若い世代から育てることが必要だと思った」と蛸さんは同大会の狙いを語る。かつては最寄り駅からサーフボードを担いで海に向かう学生の姿もあったが、最近は見なくなったという。部活動としてのサーフィンも日本においてはまれ。また、世代別の大会は今までもあったが、出場までのハードルは高く、“学生スポーツ”としては気軽な存在ではない。「高校生、というくくりは必要。年の近い者同士で切(せっ)磋(さ)琢(たく)磨(ま)することでレベルも上がっていくと思う」と蛸さんは話す。
 同大会に向けて、実行委員会は今年3月ごろから活動を開始。千葉県体育協会などの各種関係機関との連携やスポンサー探しを行い、開催にこぎ着けた。仮設施設の一部を別の大会と共有しコストカットを行うなど、予算を最小限に抑える工夫も行った。
 今大会では、高校以前からサーフィンを始めた選手の「スペシャルクラス」、女子選手の「ガールズクラス」、高校からサーフィンを始めた「一般クラス」の3クラスに9都県の29人の選手が出場。開会式には同町の馬淵昌也町長も参加し、「この大会からオリンピアンが生まれるようになってほしい」と期待を込めた。選手らは、2年後のオリンピック開催地で若い力を存分に発揮し、観客らを楽しませていた。スペシャルクラスで優勝した明聖高校(千葉市中央区)1年の松原渚生選手(15)は「第1回大会で優勝できてうれしい。連覇に向けて練習を重ねたい」と笑顔を見せた。
 「他のスポーツのように、地区大会から始められるようにしたい。学校にサーフィン部が普通にあるような社会にしたい」と蛸さんの夢は広がるが、参加選手や観客の確保、規模が大きくなった場合の開催日数の問題など、課題も多く残る。「大会の規模をどんどん大きくし、それを維持できるように工夫をしていきたい」と蛸さんは意気込む。
 有望な若いサーファーを発掘するために始まった同大会。今後、100回記念大会を迎えた野球の甲子園のように、サーフィンも盛大なものになっていくのかどうか、道のりは始まったばかりだ。
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 2020年東京五輪で初めて実施されるサーフィン競技の会場に千葉県一宮町の釣ケ崎海岸が決まった。大会開催まで残り2年を切った町の準備状況などを追った。