国内大会は観客ゼロ、競技の魅力伝えられるか パラアスリートの上山友裕さん

パラアーチェリーの伝道者(1)

 2020年東京パラリンピック開催に向け、障害者スポーツへの理解や注目度は高まっているが、まだまだ知名度が低い競技があるのも事実。アーチェリーもその一つといえるだろう。リオデジャネイロ・パラリンピック日本代表の上山友裕さん(30)は「(2年半後の)東京でアーチェリー会場を満員にしたい」と話し、金メダルという目標を追うだけでなく、競技の魅力をアピールすることにも力を注いでいる。

練習する上山友裕さん。アーチェリーのルールや面白さをより多くの人に伝えたいという(三菱電機提供)

弓が重く感じる

 --上山さんは健常者のアーチェリーとパラアーチェリーの両方の経験があります。ルールは違うのですか

上山 車いすに座って打つ、または義足をはいて打つという違いだけで、ルールはまったく一緒です。

 --車いすに座って打つ難しさはありますか

上山 立った姿勢での視界と、車いすに座った状態での視界は全然違います。あと、アーチェリーは体全体の力を使って弓を引くので、知らないうちに足の力も使っていたんです。だから車いすに座って打つと、弓が重く感じることもありました。

 --すぐに慣れましたか

上山 二本足でバランスを取っていたのが、座骨だけで(支えて)打つので、最初は傾いて打っていました。まっすぐという意識を体に染みこませるのが一番難しかったですね。

50歳以上の選手がリオ大会に出場

 --2004年アテネ五輪で山本博さんが40歳を過ぎてメダルを獲得したように、アーチェリー競技は年齢層が幅広いイメージがあります。実際に海外のパラアーチェリーの強豪はどうですか

上山 リオデジャネイロ・パラリンピックに出ていた選手には50歳以上の人もいたと思います。

パラアーチェリー日本代表の上山友宏さん。大学の先輩の褒め言葉に乗せられたのが競技を始めるきっかけとなった=堺市の浜寺公園アーチェリー練習場

 --長く続けられる競技

上山 ただ、長く続けるという気持ちだけでいると、絶対に成績を残せないんで、僕は一応、東京パラリンピックで区切りをつけようと思っています。

 --結果にかかわらず?

上山 競技を続けていくかどうかは東京でどう感じるか。とりあえず一回区切りをつけて、その先はそこから決めようと思っています。

 --障害者スポーツの注目度は高まってきていますが、パラアーチェリーの世界はどうですか

上山 正直、あまり変わっていないです。水泳や陸上は若い選手が増えているイメージはありますけど、アーチェリーは競技自体の知名度がまだ低く、競技人口も増えていないんで、代表選手もほとんど固定されています。

 --観客数はどうですか

上山 基本的に国内大会は観客ゼロです。選手がどれだけルールを教えたり、面白さを伝えたりできるか。これからの勝負だと思います。(2回目に続く)

プロフィル

 昭和62年8月28日生まれ、東大阪市出身。同志社大を卒業後、社会人1年目だった平成22年の冬に両下肢機能障がいを発症し、パラアーチェリーを始めた。日本オリンピック委員会が運営する「アスナビ制度」を利用して、26年春に三菱電機に入社し、27~29年に全国身体障害者アーチェリー選手権で3連覇。リオデジャネイロ・パラリンピックでは7位に入賞した。身長180センチ、体重64キロ。