ママアスリート、谷真海の挑戦 パラトライアスロン界に新たな動き 負けられない1年に

再び夢舞台へ
谷の2018年始動は海外から。家族も帯同=ハワイ・オアフ島(本人提供)

 東京五輪まで2年となる2018年。パラトライアスロンの谷真海(35)は新年の夜明けを、家族とハワイのオアフ島で迎えた。青い海と緑豊かな環境に囲まれたお気に入りの地。年末年始をハワイで過ごすのは2年連続のことだ。時間がゆっくりと流れるような環境がお気に入りだ。

 ここを選ぶもう一つの理由。それがトレーニング環境にある。同じハワイでもホノルルなどに比べ、車の通行量が少なく、自転車とゴルフカートのための専用レーンがもうけられている。時速40キロにも迫るバイク(自転車)を安心してめいっぱい走れるからだ。

 早朝。まだ夫と長男が寝ている時間に起床し、バイクとランニングで量にこだわったメニューをこなす。この時期のハワイは暑すぎることもなく、海中も快適だ。腰痛などの不安も抱え、オフの時期のトレーニングは温暖な場所でしっかりと量もこなしたい。

 実は11、12月のオフに入ってからの2カ月は腰痛と左右の足を順番に痛めて満足に練習できていなかった。「だからこそ、ハワイにかけていた」という意気込みを体現した内容だった。

 バイクとラン、スイムとバイクなどと3種目を組み合わせ、負荷をかけた。日本での練習では、時間や場所の制約もあって組み合わせたトレーニングが難しい。一方で、試合でバイクをこいだ後のランでは、足に疲労がたまって前に出ない苦しみも痛感した。

 新たなシーズンは競技転向2年目。昨年は初めて乗ったバイクへの対応に時間を費やしたが、今オフはランの「走り込み量を増やすことでのベースアップ」がテーマだった。足腰への負担や、義足の接続部分がすれて炎症を起こさないように、状況をみながらのバランスも求められる。

 瞬発系の走り幅跳び選手だった谷にとって、長い時間のトレーニングは課題でもあった。だからこそ、スピードを落としてもジョギングは距離を伸ばすことを意識する。体が負荷に耐えることで持久力を養えば、ベースアップにつながる。

 年明けから、パラトライアスロン界には、新たな動きが出てきた。

 冬季競技のアイススレッジスピードレースと夏季の車いす陸上で計3つの金メダルを獲得し、車いすマラソンの国内第一人者でもあった土田和歌子(43、八千代工業)が競技転向を表明。車いすクラスで20年大会出場とメダル獲得を目標に掲げた。

 さらに1月28日にドイツで開かされた国際パラリンピック委員会(IPC)が20年大会の実施クラス数を従来の6から8へ広げることを決めた。どのクラスを実施するかは年末までに発表予定だ。20年を見据え、今後は、谷と同じクラスでも海外勢の参戦も予想される。激化していく競争に負けないベースを作るための1年が幕を開けた。(田中充、掲載随時)

 ■谷真海(たに・まみ) 1982年3月12日、宮城県生まれ。旧姓・佐藤。早大時代に骨肉腫を発症し、20歳のときに右足膝下を切断して義足生活に。2003年1月から高校時代以来の陸上競技を再開。女子走り幅跳びで04年アテネ大会から12年ロンドン大会まで3大会連続でパラリンピックに出場。16年からはトライアスロンに転向した。サントリーに勤務する傍ら講演などでパラリンピックの普及・啓発にも取り組む。14年に結婚し、15年春に第一子の長男を出産した。