PR

スポーツ スポーツ

北園、代表最終選考会へ意欲 鉄棒の離れ技戻す計画

 体操の全日本種目別選手権(6月、群馬・高崎アリーナ)を控える北園丈琉(徳洲会)が25日、オンラインで取材に応じ、「今まで五輪に向けてやってきたことを出し切るつもりで強気で演技したい」と抱負を語った。右肘の負傷で一時はかすんだ東京五輪への道。18歳は諦めることなく代表最終選考会に挑む。

 パソコンの画面越しに見る北園の顔はさばさばしていた。大阪府内の自宅にいるという。

 「右肘はNHK杯の時より良くなってきている。つり輪が他の5種目と比べたらできていないけど、(全日本種目別で)必要な種目はしっかりやれているかなと思います」

 遡(さかのぼ)ること5週間前の4月18日、全日本選手権決勝。北園は鉄棒の離れ技「トカチェフ」を失敗してバー(マットから260センチ)とほぼ同じ高さから落下した。とっさに身をかばって両手を前に着いた瞬間、体の中で「ボキボキ」という嫌な音を聞いた。

 もう一度、鉄棒につかまり演技再開を試みたものの、両肘はぐらぐら緩み、激しく痛んだ。結局、何もできずに鉄棒を下り、顔をしかめて会場を後にするしかなかった。観客の温かい拍手は、きっと耳に入らなかっただろう。

 「何も考えられないというか。こんなことあるんや、現実なんかな、と」

 予選トップ通過から一転、演技ができない程の大けが。引き上げた医務室で、清風中学に入学して以来、共に歩んできた梅本英貴監督と2人で泣いた。

 関係者によると、北園が検査を受けたのは翌19日午後、大阪に帰ってからだ。診断結果は両肘の靱帯(じんたい)損傷と右肘の剥離(はくり)骨折。議論の末、所属先から「右肘の靭帯損傷」とだけ発表したのは、「丈琉の代表選考はもう終わったんじゃないか」という印象を外部に与えないためだったという。

 数日後、ひどく落ち込んでいた北園のスマートフィンが鳴った。取ってみると、声の主は内村航平(ジョイカル)だった。すぐ反応することができない程、驚いた。

 敬愛する体操界の“キング”は「大丈夫?」と気遣ってくれた。10分前後の会話で特に心に刻まれたのは「気持ちを切らさなかったら絶対、戻って来られるから」という言葉だった。

 「その時は気持ちがほぼ折れていた。何をするにも痛かったから、1カ月後のNHK杯を考えられなくて。結構、長く話してすっきりして、頑張ってみようかなという気になりました」

 内村自身、連絡を取るべきか迷っていたところに、梅本監督から「電話したってくれ」と電話があったのだという。

 徳洲会の米田功監督によると、北園は4月25日から29日の5日間、関東に足を運んでいる。千葉県や東京都の病院を回ったのだ。患部に衝撃波を照射して痛みを取る体外衝撃波という治療を受け、回復効果があるとされる高圧酸素カプセルに入った。拠点にしている大阪の清風高に帰ってからも、しばらくは練習の前と後に、府内の別々の徳洲会病院で高圧酸素カプセルを利用してきた。

 北園は改めて右肘を痛めて以降を、こう振り返る。

 「いろんな人が気にかけてくれているなと分かったし、自分1人じゃないんだなというのが大きな力になった」

 右肘をテーピングで固めて臨んだ5月15日のNHK杯は演技の難度を落とし、9位で切り抜けた。11位以下に落ちていたら東京五輪の代表入りは絶望的だっただけに、「最低限、良かった」と安堵(あんど)したところだ。

 団体代表枠は4人。NHK杯で橋本大輝(順大)と萱和磨(セントラルスポーツ)が決まり、残りは2人。全日本選手権とNHK杯、全日本種目別選手権の結果を踏まえ、橋本、萱との組み合わせで、団体のチーム得点が最も高くなる2選手が選ばれる。そのうち1人はNHK杯5位以内という条件が付く。

 3人目は谷川航(セントラルスポーツ)が有力視され、4人目を杉野正尭(徳洲会)、武田一志(同)、三輪哲平(順大)、北園が争う構図か。

 北園は全日本種目別のカギとなる種目に「床運動と鉄棒」を挙げた。選考対象となる得点を伸ばす余地を比較的大きく残しており、逆転代表入りするには、この2種目での上積みが不可欠といえる。鉄棒では全日本で負傷につながった離れ技「トカチェフ」を演技に戻す計画だ。

 「取らないといけない点は把握していて、そこを目標に練習している。ビビらず、自分の演技をやり切れれば代表が見えてくると思うので、やりきりたい」

 2018年ユース五輪5冠のホープは今、「回復」と「怖さ」と「試合までの残り時間」がせめぎ合う中で戦っている。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ