【井崎脩五郎のおもしろ競馬学】「飛行機雲」か「大歓声」か…
発売中の競馬週刊誌「ギャロップ」の表紙に、こういう見出しが踊っている。
「注目の初対決!コントレイルVSグランアレグリア」
「大阪杯 阪神GI」
「“大阪春の陣”勝者は3冠馬か最優秀短距離馬か、それとも…」
そう、4月4日(日)に阪神競馬場で行われる大阪杯(芝2000メートル)のキャッチコピーである。
すでに広く知られているとおり、人気両馬の名前の意味は、コントレイルが「飛行機雲」、グランアレグリアが「大歓声」である。その両馬の初対決なのだ。
雲に、歓声か…。まるで甲子園の高校野球だなと思われた方は少なくないはず。人口に膾炙(かいしゃ)している全国高等学校野球大会の歌『栄冠は君に輝く』の一番にこうある。雲と歓呼が出てくる。
♪雲はわき 光あふれて
天たかく
純白のたま きょうぞ飛ぶ
若人よ いざ
まなじりは 歓呼にこたえ
いさぎよし ほゝえむ希望
あゝ 栄冠は 君に輝く
現実には、今年の春のセンバツはこうはいかず、白い雲がわくはずの空は黄砂(こうさ)におおわれ、歓呼の声はコロナ禍による入場制限のためにおさえ込まれた。
そんなときに、雲と歓声を名乗る馬が出走してくるのは、「そのうちにいいこともあるから、元気出せよ」という、天上の世界からの励ましなのかもなあ。
コントレイルは昨年、無敗で3冠を達成し、古馬初対戦となったジャパンCでも、上がり最速でアーモンドアイの2着に追い込んできた。
一方のグランアレグリアは昨年、GIでばかり4戦し、(2)(1)(1)(1)着という好成績。安田記念では、コントレイルがかなわなかったアーモンドアイを2着に抑え、2馬身半もの差をつけている。
一騎打ちか。それとも伏兵の台頭があるのか。手に汗握る大熱戦を期待したいなあ。(競馬コラムニスト)