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技を支えた意地と矜持 羽賀が初の全日本王者に 

決勝で太田彪雅(左)に一本勝ちした羽賀龍之介 =26日、東京都文京区の講道館(代表撮影)
決勝で太田彪雅(左)に一本勝ちした羽賀龍之介 =26日、東京都文京区の講道館(代表撮影)

 体重無差別で争う柔道の全日本選手権で26日、2016年リオデジャネイロ五輪男子100キロ級銅メダルの羽賀龍之介が決勝で昨年3位の太田彪雅を破り、初優勝を果たした。

 技は人なり-と、見る者をうなずかせる羽賀のフィニッシュブローだった。決勝の延長2分に放った左内股の一撃。片足で持ちこたえる相手の太田に、内股の二撃、そして三撃。

 羽賀の体が相手の上に折り重なったのは、場外の赤畳の上だ。切れ味ではなく力で敵を従えた強引一徹の内股。技を支えるものがあったとすれば、腹の底でとぐろを巻く執念だろう。

 「『自分はまだ(第一線に)いるんだぞ』という戦いができた」

 4年前のリオデジャネイロ五輪は不本意な銅。華々しい雪辱を誓った東京五輪は代表の選から漏れた。29歳。下降線をたどる体力と、五輪に届かなかった自身の弱さを認めつつ、「意地がなくなったら終わり」と、気力という最後の一線は譲るまいと心中に期していたという。

 決勝で裏返した太田も3回戦で退けた影浦も、かつて母校東海大で稽古をつけた後輩だが、「一日の長」は勝因の一端でしかない。「負けているようじゃ示しがつかない。ここは壁になってやろう、と」

 全日本柔道連盟のアスリート委員として、弁才をふるう立場でもある。コロナ禍に沈む社会に「希望」の2文字を発し続けたのがこの人なら、夏の豪雨災害に泣く被災地支援の先頭に立ったのもこの人。アカウントを持つSNSが写真とメッセージであふれ返るのは、武道家としての使命感の表れという。

 再び走り始めた王者は、面差しもすがすがしく「悔しい思いもしたが、五輪だけがすべてじゃない」。挫折を経て磨かれる技があり、失意の底で磨かれる言葉がある。技は人なり、言葉も人なり。(森田景史)

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