ルール改正も俎上にのる「密」なラグビー、アメフトの行く末
プロ野球が3カ月遅れで開幕しサッカーJ1も再開するなど、新型コロナウイルスの影響で停止していたスポーツ界が徐々に日常の風景を取り戻しつつある。一方で同じ球技ながら今季の開幕が不透明なのが、ラグビーとアメリカンフットボールだ。激しい身体接触を伴う競技の特性上、感染リスクは不可避。大会の取りやめやルールの変更すら模索されており、楕円球の転がる先は見通せないままだ。 (岡野祐己)
魅力があだに
全国に発令されていた緊急事態宣言の全面解除から6日後の5月31日。日本ラグビー協会が発表した活動再開に関する指針に、関係者の間で困惑が広がった。
指針では、練習内容や人数を、(1)個人トレーニング(2)少人数でのランニングなど-といった5段階に区分。そのうち第5段階の接触プレーを伴う活動については「当面の間禁止」としたのだ。
ラグビーの魅力は、トライにつながる鮮やかなパス回しだけでない。相手の攻撃を防ぐタックルや、スクラム、モール、ラックといった密集での攻防も大きな醍醐味だ。
だが、こうした接触プレーには、当然ながら感染のリスクがつきまとう。実際、国際統括団体ワールドラグビー(WR)は5月28日、感染リスク低下を目的とした一時的なルール改正案を発表。接触プレーの回数や時間を減らすのが主眼で、スクラムの組み直しの禁止や、ラックとモールに加わる選手の人数制限などが打ち出された。
改正案の採択は加盟協会や大会主催者の裁量に委ねられており、ラグビーの魅力を損なうとの批判的な見方もある。だがWRのボーモント会長は「最も重要なのは、ラグビーに関わる人の健康と福祉だ」と訴えている。
強豪の不参加も
日本協会はその後、国内の感染状況の改善を受けて指針を改訂。7月1日以降は接触プレーの練習を段階的に再開することを認めた。だが、例年に比べ、各チームともスケジュールの大幅な遅れは否めない。