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【井崎脩五郎のおもしろ競馬学】「日参」カルロス・ゴーンのたわごと

 近所の居酒屋に、カルロス・ゴーンと呼ばれるおじいさんが毎日やってくる。「軽」く記憶を「ロス」していて、その原因というのが、酔ってカウンターに頭を「ゴーン」とぶつけるため。それで、ついたアダ名がカルロス・ゴーン。

 「そろそろ帰るわ。お内儀、お勘定して」

 「あら、さっき、頂戴してますよ」

 「えっ、払ってる!? そんなわけねえと思うけど」

 「いえ、本当に頂戴してます」

 「払った記憶がないほど、この店は安いんだよ。よし、もう少し飲んでくか」

 ここからが長いのである。たいがいは最後の客。日産カルロス・ゴーンに対して、こちらは日参カルロス・ゴーン。とにかく毎日やってくる。

 「俺は昭和31年のオークスを見てるんだけど、そのレースは、フミとクミで決まってるんだぜ。俺の姉ふたりと同じ名前なんだ」

 そんな名前の馬、いたっけ? 最初は何のこと言ってるのか分からなかった。家に帰って調べて、やっと分かった。

 昭和31(1956)年・オークス

 1着 フエアマンナ

 2着 ミスリラ

 3着 トサモアー

 4着 クロサト

 5着 ミツル

 1着から5着に入った馬の頭文字が、つなげると「フミとクミ」になり、これに気付いたとき、よほどうれしくて、今もって忘れられないのだろう。

 同席しているわれわれが、「それ、聞いたよ」と絶対に言わないのは、なに、われわれだって同じ話を繰り返しているに決まっているからである。

 「俺の本名はハリモト・ケンで、昔はハリケーンと呼ばれてた」。ウソか本当か不明。

 「俺は昔、染井佳乃(そめい・よしの)という女と、付き合っていたことがある。桜の時季になると思い出すよ。いい女だったなあ…」。これも真偽不明。

 そして今宵(こよい)もたぶん、この日参カルロス・ゴーンのたわごとに、つい笑ってしまうのである。(競馬コラムニスト)

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