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【いざ舞台へ パラアスリート】(中) テコンドー61キロ級内定 田中光哉 強心臓の新星

パラテコンドーの田中光哉=横浜市(佐藤徳昭撮影)
パラテコンドーの田中光哉=横浜市(佐藤徳昭撮影)

 浅く膝を折るや時計回りに回転し、前を向くところで跳び上がる。体を後ろに倒しながら狙いを定めると、サイドから左脚を鞭(むち)のようにしならせ、足の甲でとらえたミットを「パーン」と鳴らした。

 パラリンピックでは東京大会で初採用となるテコンドー競技。田中光哉は1月のサンマリエ・カップで有力選手を破り、男子75キロ級の工藤俊介(26)、女子58キロ超級の太田渉子(30)とともに代表に内定した。

 3年前に競技を始めたばかり。きっかけは東京都障害者スポーツ協会に勤務時代、パラ競技の普及活動に携わったことだ。テコンドーは東京大会に向けて選手の発掘が図られたため、競技歴が浅くても大舞台を狙えるチャンスだった。「プレーヤーとして競技を盛り上げよう」。横浜市の道場を訪れてすぐ「パラリンピックに出たい」と宣言し、周囲を驚かせた。

 本気度を測りかねた師範の洪君錫(47)は、連日、素足での基本ステップを教えた。田中は黙々とこなし、やがてマットは血だらけに。それでも「冷や汗をかきながら何週間も続ける姿に感動した。僕も『(一緒に)やろう!』と決めたんです」。洪は熱っぽくそう振り返った。

 着実に実力を付け、軽やかなステップと素早い蹴りが勝負の武器になった。61キロ級では長身で、リーチを生かして相手との距離を取り、自分のテンポに持ち込むスタイルもできてきた。

 一方で弱点も自覚している。先天的に肘から先に障害がある田中は、蹴りの力に影響する上半身の筋肉が付きにくい。トレーニングマシンの使用が困難で、鎖と重りで作ったトレーナーお手製のダンベルで、独自の鍛錬方法を探っている。

 「一人として同じ腕の形の選手はいない。パラテコンドーは攻撃や防御、トレーニングにも個性が出る」

 東京大会ではメダル獲得が目標だが、なにより世界一を争う勝負の世界で自身が奮闘することで、似たような障害がある人にエールを届けたいと考えている。

 「こんな腕の人が頑張っているとか、テコンドーって面白そうだとか。大舞台での活躍が、いろんな方へのメッセージになれば」

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