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【末續慎吾の哲学】納得させる力 陸連の「原則」を考える

 東京五輪の陸上短距離代表の選考案が物議を醸している。日本陸連強化委員会が打診したのは、リレーに傾注するため「個人種目は100メートルと200メートルを兼ねられない」という原則だ。自分が20代だった頃、このような原則があったら、どうだったかと考えてみた。

 当時、僕は日本人でまだ誰も成し得ていない100メートルの9秒台と200メートルの19秒台の両方を期待されていた。そして、日本チームには400メートルリレーという“軸”もある。日本選手権など代表選考が懸かる場面が近づくと、「100メートルも200メートルも狙うのか?」「1種目に絞るのか?」と記者の人たちや関係者によく聞かれた。どちらか意志表明しないといけない空気感は強かった。

 もしあの頃、今回のような「原則」が設けられていたら、1種目に絞る既成事実となってよかったかもしれない。これは戦った人間でないと分からないところだが、やはり2種目を兼ねてリレーにも出るのは心身とも過酷なものだ。結局、僕の場合は、大きな海外選手に対して力を出し切って戦うために1種目に絞っていた。「リレーまで3種目はつらいんです」と言いたかった。でも、競技者として自分から「つらい」とは言えないし、言ってはいけないと思っていた。

 もちろん陸上は個人競技なので100メートル、200メートルが優先されるべきだ。経験上、リレーに傾くと強化の本質的な部分に独特の「甘さ」と「隙」が出てくる。それは個人種目の競技力低下につながる傾向もある。

 その上で、強化委員会は過去のデータなどを踏まえ、「原則」を設けるという方法もあるんだと提案に踏み切ったのだと思う。理解できる論理ではある。

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