PR

スポーツ スポーツ

【日曜に書く】「生」につながる犠牲がある 論説委員・中本哲也

 しかし、死者と行方不明者を区別しない方が現実を伝えやすいことがある。また、救命に全力を尽くす災害発生直後と、発生から8年と8カ月になる東日本大震災の行方不明者を、同じ言葉で伝えることが必ずしも正確であるとは考えない。

 一方で、行方不明者の生存に一縷(いちる)の望みを捨てきれずに苦悩している人が、今もいるかもしれない、という思いが頭をよぎる。「死」の同義語として「犠牲」と書くことに躊躇(ためら)いが伴う。

 災害報道に携わる限り、「犠牲」という熟語を「死」の同義語として使っていかなければならないだろう。

 年月とともに小さくはなっていくとしても、躊躇いは消してはならない、忘れてはならないと思う。

復興スタジアム

 日本代表の歴史的勝利に列島が歓喜した10月13日、東日本大震災で被災した岩手県釜石市に新設された釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムで予定されていたナミビア-カナダ戦は中止になった。

 東日本、北日本に甚大な被害をもたらした台風19号の影響である。復興の象徴として、前進の糧として準備を重ね、この日を楽しみにしていた市民、ボランティアの落胆は大きかったに違いない。

 その思いに即座に応えたのはカナダ代表だった。選手たちは私服姿で釜石の街に繰り出し、道路の堆積した泥を掻(か)き出し、ゴミを集めた。

続きを読む

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ