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【ラグビーを書く】対戦相手・ベスト主将引退でNZがつくったノーサイドの花道 別府育郎

NZの選手による花道を歩くアイルランドのベスト主将=味の素スタジアム(撮影・山田俊介)
NZの選手による花道を歩くアイルランドのベスト主将=味の素スタジアム(撮影・山田俊介)
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 オールブラックス(ニュージーランド)のこの圧倒的な強さはどうだろう。東京・味の素スタジアムで行われた準々決勝のアイルランド戦では攻めて奔放、守って堅牢、強く速くしたたかで、相手の些細なミスも許さず、試合後の敵将シュミットに試合後、「呼吸もできないぐらい、心が打ちのめされた」と言わせた。

 全ての面で上回ったオールブラックスだが、アイルランドが圧倒したものもあった。スタンドの大声援である。4万8656人で埋まった観衆の大半は黒衣のサポーターに見えたが、アイルランドの緑の大声援、大合唱は終始大音量で、場内に響き続けた。

 わずかな静寂は台風の犠牲者にささげた1分間の黙祷のときのみで、オールブラックスの戦い前の儀式の間も声援や歌声は鳴り止まず、ハカの口上は全く聞こえないありさまだった。

 この興奮が試合を熱くし、スタンドはさらに燃え上がる。大きなイベントにはこの相乗効果が不可欠で、だからこそ大観衆を収容する大きなスタンドが必要なのだ。収容人員を小さくすることに熱心な方々は、この大音量の肉声の興奮を味わったことがないのだろう。

 クライマックスは試合の直後に訪れた。インタビューエリアに真っ先に呼ばれたのは、勝ったオールブラックスの監督でも主将でもなく、この試合で現役を引退するアイルランドの37歳の主将、フッカーのローリー・ベストだった。

 ところがスタンドの大声援が鳴り止まず、インタビューはなかなか始まらない。アイルランドのサポーターは代表124キャップの愛するキャプテンに「引退」を語らせたくなかったのだろう。

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