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【ラグビーを書く】「束縛が大嫌い」同志社・岡仁詩の「イズム」と称された哲学 内田透

「話の肖像画」に登場したときの岡仁詩さん=平成13年(山田哲司撮影)
「話の肖像画」に登場したときの岡仁詩さん=平成13年(山田哲司撮影)
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 「その場その場の判断で、自由で思い切ったプレーをするのが同志社のラグビー。相手に『えっ、何をやんねん』と思わせるような自由なプレーがないと、面白くない」

 「『Don’t』だらけで自らの幅を狭め、決められたことだけのラグビーなんてちっとも面白くない」

 大学ラグビーには「縦の明治」「横の早稲田」といったチームカラーがあるが、岡さんは「型がないのが同志社」だと言い切る。そのラグビー観に、大八木淳史さんや平尾誠二さんを擁した大学3連覇時代が重なる。「束縛したり、束縛されたりすることが大嫌い」。岡イズムの源流には、あらゆる価値観が一変した終戦時の経験があった。

 面白いエピソードも語っている。大学4年のとき、明治との定期戦で10-92の大敗を喫し、うちひしがれていた試合後、近づいてきた明治の北島忠治監督から「同志社は相撲からやり直した方がいい」と悔しい言葉を投げかけられた。

 この借りを、監督就任2年目の定期戦に競り勝って返す。直後、大敗時のメンバーから「岡はん、忠さんに『明治はレスリングからやった方がええ』と言ってやってくださいよ」と言われたと、笑いを交えて回想している。

 岡さんには優しくダンディーな半面、激しい一面があった。筆者は昭和61年度からの4年間、岡部長のもとで部に在籍させてもらった。ロマンスグレーで格好良く、語り口もスマート。約140人もの部員の顔と名前をきちんと覚えておられ、レギュラークラスではなかった私にも気さくに声をかけてくださった。

 記者になり、取材でもお世話になったが、平成13年、関西大学Aリーグで同志社が立命館に53年ぶりに負けた試合について、お話をうかがったときのことが印象深い。

 この試合の日の朝、岡さんは胆石の激痛に襲われて病院へ運ばれた。取材したのは試合の数カ月後。「見たくない試合を見せないように石が動いたのかもしれん」と冷静に語る一方、「あの試合を思うと今でもムカムカする」とも。勝負師らしい厳格な素顔をのぞかせた。

「いけいけラグビー」

 岡イズムには、時代に先駆けたさまざまな戦術、戦法があるが、中でも平成5年度の「いけいけラグビー」は感動的だった。

 6年1月2日、国立競技場での大学選手権準決勝、明治戦。キック全盛の時代、同志社はいくつも反則を得ながらペナルティーゴール(PG)は狙わず、ただトライを取りにいった。前半をリードして折り返すも最終的に17-27で敗れたが、果敢な戦いぶりが称賛を浴びた。

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