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【高めあって】(上)梨紗子と友香子、とてつもなく高い壁を乗り越え、姉妹で東京へ

レスリングプレーオフ女子57kg級 試合後に妹の友香子(左)と記念撮影する川井梨紗子=6日午後、埼玉県和光市・和光市総合体育館(納冨康撮影)
レスリングプレーオフ女子57kg級 試合後に妹の友香子(左)と記念撮影する川井梨紗子=6日午後、埼玉県和光市・和光市総合体育館(納冨康撮影)

 リオデジャネイロ五輪63キロ級で金メダルを獲得した。だが、姉の川井梨紗子は階級がかぶっていた妹の友香子と2人そろっての東京五輪出場を果たすため、57キロ級に転向した。そこには、とてつもなく高い壁が立ちはだかっていた。国民栄誉賞も受賞した五輪4連覇中の絶対女王、伊調馨である。乗り越えてつかんだ世界選手権の舞台。ここで表彰台に立てば姉妹の夢が実現する。大一番を前に、梨紗子は「友香子の支えがなければ戦い抜けなかった」と言い切った。

 伊調との長く熾烈(しれつ)な代表争いは、まさかの逆転負けで始まった。昨年12月の全日本選手権。2-1とリードし、残り10秒。わずかな隙を百戦錬磨の伊調に突かれ、右足へのタックルからバックを取られた。

 敗戦のショックは大きかった。「練習に行きたくない」。友香子にそうこぼした。トンネルに迷い込んだように気持ちが沈み、練習拠点の至学館大(愛知)に行くのも億劫(おっくう)になって石川県の実家に帰省した。

 「梨紗子が苦しむ姿をずっと見てきた」と友香子。「でも、自分も選手だから練習しなきゃいけない。自分が練習を頑張ることが梨紗子にとってプラスになる」。あえて励ましの言葉もかけなかった。

 無言のエールを感じ取った梨紗子は「友香子が毎日努力して頑張る姿を見て、自分も頑張らなきゃと思った」と振り返る。伊調を倒す目標を直視し、練習に打ち込めるようになった。

 今年6月の全日本選抜選手権は6-4で雪辱。闘志を前面に出して戦い、伊調に「(私の方が)勇気が足りなかった」と言わしめた。これで、五輪予選を兼ねた世界選手権代表争いはイーブン。決着は7月のプレーオフに持ち越された。

 再戦が迫る中、梨紗子はスマートフォンを手に「エゴサーチ」をした。インターネット上で名前を検索し、自分自身への評価を確認することを指す。

 「伊調選手の五輪5連覇が見たい」「伊調さんを応援しています」-。栄和人前強化本部長によるパワーハラスメント被害を受け、昨年10月に試合に復帰した伊調を推すコメントばかりが目についた。「仕方ない。五輪4連覇と五輪1回優勝なら4回の方が桁違いにすごいから」。割り切ってプレーオフは持ち前の攻めるレスリングを貫いた。果敢にタックルを仕掛け、3-3の同点ながら、相手より高得点の決まり手が多い「ビッグポイント」の差で伊調を下し、半年間の長い戦いに終止符を打った。

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