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【パラ卓球】国内初の国際大会で垣田、友野両選手がシングルス金メダル 古川選手、岩渕選手ら健闘

 パラ卓球の国際大会「ITTF(国際卓球連盟)・PTT(パラ卓球)ジャパンオープン2019東京大会」が8月1~3日、東京都の港区スポーツセンターで開催された。国際卓球連盟が公認する、パラ卓球の国際大会が日本で開かれたのは今回が初めて。東京パラリンピック出場権を獲得するための世界ランキングポイントが得られる大会であり、参加した23カ国の国旗が掲げられた会場にはランキング上位者をはじめ約180人の選手が集まった。自国の開催ということもあって、日本代表選手は参加国で最多の46人(男子34人、女子12人)が集結。さまざまな言語が飛び交う国際色豊かな会場で、他国の選手らと対戦・共闘して、磨いた技を披露した。

 パラ卓球は障害の程度で細かくクラスが分かれており、肢体不自由者(クラス1~5が車いす、クラス6~10が立位。数字が低いほど障害が重度)と、知的障害者(クラス11)が参加する。

 ルールは、基本的に一般の卓球とほぼ同じ。車いす利用者については「サービスがサイドラインを切った場合はやりなおし」などいくつかの特殊ルールを含む。

団体戦で準優勝した垣田斉明(なりあき)選手(左)と岩渕幸洋(こうよう)選手
団体戦で準優勝した垣田斉明(なりあき)選手(左)と岩渕幸洋(こうよう)選手
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 1、2日は個人戦が行われ、クラス10男子で垣田斉明選手(35、世界ランキング24位)が、クラス8女子では友野有理選手(19、世界ランキング13位)がそれぞれ金メダルを獲得した。

個人戦で金メダルを獲得した友野有理選手
個人戦で金メダルを獲得した友野有理選手
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 2日の個人戦終了後から3日にかけては、団体戦が行われた。団体戦で日本勢は金メダル獲得には至らなかったが、クラス10で優勝した垣田選手と、リオ・パラリンピックで日本代表を務めたクラス9の岩渕幸洋選手(24、世界ランキング4位)のタッグは、クラス10で準優勝を果たした。

古川選手、世界ランク1位から初のセット奪取

 個人戦、クラス11で世界ランキング9位の古川佳奈美選手(22)が、躍進した。準決勝で同1位エレーナ・プロコフェバ(ロシア)選手にフルゲーム2-3(8-11、11-6、6-11、12-10、1-11)で惜敗したが、健闘を見せた。

 これまで1セットも奪えなかったエレーナ選手から、第2セットで初めてのセットを奪った。迎えた4セット目、マッチポイントの6-10という点差から、「ここで負けたら終わり」という気持ちで奮起、1ポイントも落とさず6連続得点の猛追を見せて、逆転を果たした。

 第5セットでは、「向かっていく気持ち」で攻める古川選手に対し、追い詰められたはずのエレーナ選手が冷静に球を処理。最後は「集中が切れてしまった」という古川選手が1-11で敗れた。

 昨年11月から、古川選手は“相手がやりにくい卓球”を意識して仕上げてきた。この試合では、コーチからのアドバイスを受けて、通常使っているサーブとは違うバックサーブを試した。普段と異なる戦略を意欲的に取り入れた工夫が、実を結んだ。

 古川選手は本来、スマッシュなどを打ち込んで自身の調子を上げていく戦い方を好む。今回は苦手な回転の球が来ても丁寧に打ち返し、我慢を重ねてイージーな回転の返球を待ち、相手コートに鋭い打球を返すスタイルで挑んだ。

 世界ランクの格上を相手に上々な出来の試合を展開したことで「コーチにもいいゲームだったと褒められました」と振り返り、今後の抱負を問われると「世界ランキング上位の選手をみんな倒したい」と意気込んだ。

古川佳奈美選手
古川佳奈美選手
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伊藤選手もリオ金メダリスト破る

 クラス11女子の個人戦では、古川選手と、同じく世界ランキング9位の伊藤槙紀選手(34)の2人がそろって、リオ・パラリンピックの金メダリストで世界ランキング2位のコスミナ・ナターリア選手(ウクライナ)を破る快挙を成し遂げた。来年の東京パラリンピックを見据え、着実に実力がついてきたことをうかがわせる。

 団体戦でも伊藤選手は、同じくクラス11の櫨山(はぜやま)七菜子選手(23、世界ランキング15位)と組み、準優勝の成績を収めた。櫨山選手は、「メダルが取れてうれしい」と喜び、伊藤選手は「国際大会の初めての決勝まで行って、銀メダルを獲得できてうれしい」と話した。伊藤選手はパラリンピックに向けて、「今日みたいに落ち着いて、気合いを入れて頑張りたい」と抱負を語った。

伊藤槙紀選手
伊藤槙紀選手
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71歳別所選手は準優勝

 クラス5女子の個人戦で出場した、リオ・パラリンピック5位で世界ランキング8位の71歳、別所キミヱ選手は1日目に2連勝し、決勝では格上の韓国人選手と対戦。相手選手が得意としているテンポの速い展開に持ち込まれて、1セットは奪うも1-3で敗れ2位となった。

 途中、球が相手のコートに入ったあとに、自コートに戻ってくるような強烈な回転のかかった得意ショットが決まり、相手に傾いた流れを引き戻しかけたが、セット奪取には至らなかった。

 初日は東京2020を意識して、恒例となった蝶の髪飾りを40個付けて試合に出場した別所選手。2日目は「今日は1つ減らして、39個。応援してくれた皆さんに、サンキューです」とおどけ、応援に駆けつけたファンらに感謝を伝えた。

別所キミヱ選手
別所キミヱ選手
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団体戦準優勝の岩渕選手「すごく悔しい」

 クラス9男子の岩渕選手は、個人戦で優勝候補と目されていたが、世界ランキング格下の選手に敗れてしまった。悔しい思いを胸に臨んだ団体戦では、クラス10の個人戦で優勝した垣田選手と組んで、より障害の程度が軽い選手が集まるクラス10に出場し、準優勝した。

 団体戦は、はじめにダブルスで試合を行い、次にシングルスを2戦行う。先に2勝を収めたチームが勝ち。団体戦のシングルスの勝敗は、自身の世界ランキング順位のポイントに反映される。

 岩渕・垣田ペアは決勝のダブルス戦をフルゲームの末に落としてしまう。岩渕選手は「クラス9では返ってこないであろう球も返球された」と振り返る。続く第2ラウンドのシングルスは岩渕選手が制するも、勝敗のかかった第3ラウンドで、垣田選手が個人戦の準決勝で下したイギリス人選手に敗れ、優勝を逃した。

 岩渕選手は「団体戦銀メダルで、すごく悔しい気持ちですけれども、まだ強化できる点が見つかってきたので、1年かけて技術の幅を広げていきたい」と東京パラリンピックを見据えた。

 垣田選手は「個人戦では勝っている選手に、団体戦のシングルスで負けてしまった。同じパターンで得点を重ねたことにこだわってしまった。今後、大きな声援に応えられるように、メンタルや技術を鍛えて来年を迎えたい」と、一度勝った相手に勝ち続けることの難しさに言及した。

「茶田さんは、女武芸者」

 団体戦でクラス3の茶田(ちゃだ)ゆきみ選手(31、世界ランキング14位)は、クラス2-5の混成クラスに出場したが、リーグ戦で思うようにコンビネーションを発揮できず、4戦全敗を喫した。

 パラ卓球の特徴として、クラスが細かく分けられていることが挙げられる。茶田選手には、国内にペアを組める同クラスの選手がいないという。そのため、団体戦では毎回他国の選手と混成チームを作る。今回は、元車いすテニスの世界チャンピオンでオーストラリア出身のダニエラ・ディトーロ選手(44)とペアを組んだ。

ダニエラ・ディトーロ選手(左)と茶田ゆきみ選手
ダニエラ・ディトーロ選手(左)と茶田ゆきみ選手
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 茶田・ダニエラペアは大会の前日にダブルスの戦略について確認し合った。だが、1日だけの練習では、普段からコンビネーションを磨いている他国のペアには及ばなかった。ダニエラ選手は「ダブルスで難しいのは、2人のちょうど真ん中に来た球の処理。練習時に重点的にどうするかを確認したが、即席だったので対処できる場合とそうでない場合があった」と振り返る。

 ダニエラ選手は茶田選手を「女武芸者のようだ」と評する。何度か日本を訪れており、日本が好きだというダニエラ選手は「Female-samurai」を「女武芸者」と日本語で表現した。「一緒にプレーしていて、茶田選手の『本当に勝ちたい』という気持ちが伝わってきた。勝たせてあげたかった。勝ちにこだわる姿勢、鋭いラケットさばきがまるで侍のようだった」と話した。

 一方、茶田選手は「ダニエラ選手はどんな場面でも笑顔を絶やさなかった。試合中、本当に苦しい場面で、何度も励まされた」とダニエラ選手の姿勢をたたえた。

 今大会終了時点で、来年のパラリンピックに出場が確実な日本人選手はいない。当該大会開催年の1月1日時点での世界ランキングなどを参考にして出場者が決定する。各選手とも、9月に行われるチェコオープンの大会などでさらなる実績を積み重ねていく。(フジテレビ)

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