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【井崎脩五郎のおもしろ競馬学】「同病相憐む」不毛な言い合い

 新潟競馬へ向かう新幹線。

 隣席に乗ってきたのは、元ジョッキーの細江純子さんだった。

 手に、重そうな旅行カバン。

 「細江ちゃん、棚に上げてあげるよ」と言ったら、「あっ、大丈夫です」と、まさに軽々と棚へ。

 「細江ちゃん、女子力、低いなあ。こういうときはさ、重くてどうしようかと思ってたんです、助かりますとか言えば、女性らしさが強調されて、周囲にいい感じにうつるのに」

 「へへ。わたし、力だけはあるんですよ。元ジャッキですから!」

 細江ちゃんは、本当にこういう返しがうまいんだよなあ。荷物を上げたりする起重機のことをジャッキというけど、あれのつづりは「Jack」。

 一方、騎手を意味するジョッキー(Jockey)は、欧米ではしばしば、つづりを縮めて「Jock」(ジャッキ)と言ったりする。

 細江さんは現役時代、2勝を挙げたシンガポールをはじめとして、海外に時間を見つけては足をのばしていたから、JackとJock、たった一字違いで、発音もほとんど同じのこの言葉を、両方耳にしていたということなのだろう。

 実は、細江ちゃんとはフジテレビの「みんなのKEIBA」に一緒に出ていて、放送終了後にネット用の「反省部屋」というのを収録しているのだが、二人そろってハズれたときの方が、見てくれている人が多い。

 「細江ちゃん、この馬、本命にしてたの? 来るわけないじゃん。ローテーション見たって」。そうけなすと、細江ちゃんが口をとんがらして「先生、この馬買ってたんですか。どう見ても、調子が落ちてたのに」と言い、不毛な言い合いが笑いながら続く。

 こういうときの方が、見てくれている人が多いということは、やはり、見ている人もハズれていて、ハズれた仲間を探しているっていうことなんだな。

 中国の古典に曰(いわ)く。「同病相憐(あいあわれ)む」。同じ苦痛を受けている者は、互いに同情する念が深い(広辞苑)。ホント、そういうことかもなあ。(競馬コラムニスト)

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