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【野球がぜんぶ教えてくれた 田尾安志】眠れる才能に活を入れる

ソフトバンク新入団選手発表会見。後列左から3人目が砂川リチャード選手=福岡市内のホテル(撮影・仲道裕司)
ソフトバンク新入団選手発表会見。後列左から3人目が砂川リチャード選手=福岡市内のホテル(撮影・仲道裕司)

 健闘していた楽天が、正念場を迎えている。3月に主力の岸孝之、則本昂大両投手が故障で抜けた。今季はBクラスかなと思っていたが、一時は首位に立つなど、予想を裏切る戦いぶりをみせていた。

 ウィーラー内野手、ブラッシュ外野手にフリーエージェント(FA)で加わった浅村栄斗内野手の主軸3人だけでなく、前後を固める打者も粘り強く、簡単に凡退しない。なかなか面白い打線だ。なんとか巻き返し、上位戦線に踏みとどまってほしい。

 率いる平石洋介監督はまだ39歳。僕の長男と同学年だ。現役時代は決して一流のプレーヤーではなかった。その分、レギュラー選手以上の努力をしてきたはず。努力が選手を見る目を養い、能力を見抜く力になっている気がしている。

 先日、阪神の鳴尾浜球場で、遠征してきたソフトバンク3軍の選手のフリー打撃を見て「こんな選手がいるんだ」と驚かされた。プロ2年目で20歳の砂川リチャード内野手。沖縄の北中城村出身で、沖縄尚学高から育成ドラフト3位で入団した。

 188センチ、106キロの恵まれた体から放たれる打球は、少々の当たり損ねでも外野フェンスを越える。柵越え5連発もあった。同じぐらい遠くへ飛ばせる打者は、阪神の1軍には一人もいない。理にかなった素晴らしいスイングで、直すところがない。これほどの素質を持った選手がなぜ3軍なのか、不思議に思った。

 指導する藤本博史3軍監督によると、のんびり、おっとりとした性格が災いし、才能を持て余している面もあるようだ。砂川の打撃に目を奪われた僕は「いいスイングしているな」と声をかけ、こう励ました。

 「君はものすごい素質を持っている。もし1軍でバリバリとやれないままなら、自分の努力が足りないと思えよ。楽しみに見ているから頑張れよ」

 高校からプロ入りした打者で、僕が「ずば抜けてすごいのが入ってきたな」と感じたのは、清原和博(西武、巨人など)、高橋周平(中日)、岡本和真(巨人)、清宮幸太郎(日本ハム)-の4選手。砂川は岡本よりも遠くへ飛ばせる。それほどの才能を持っている選手には、プロ野球界のためにも一流になってもらわないと困るのだ。

 僕のようにチーム外の人間が「絶対に上でできるから」と言ってあげると、心強さを感じるのではないか。3軍でプレーしている選手は、1軍への道が果てしなく遠く感じるときもあるだろう。例えるなら、山登りも、頂上がどこか分からずに登っていては、精神的にもつらい。しかし、「あとどれだけ歩くと登頂できる」と言われると、頑張ろうと思えるもの。近い将来に「4番サード、砂川リチャード」が実現するだろうか。楽しみは尽きることがない。

(野球評論家)

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