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【舞の海の相撲“俵”論】白鵬はどこへ向かうのか

新元号の「令和」と書かれた垂れ幕を挟み写真撮影に応じる横綱白鵬関(右)と横綱鶴竜関=1日午後、奈良県五條市
新元号の「令和」と書かれた垂れ幕を挟み写真撮影に応じる横綱白鵬関(右)と横綱鶴竜関=1日午後、奈良県五條市

 華やかなにぎわいの中にも、厳粛さが保たれている結婚披露宴。セレモニーも終わり、後は主催者のあいさつを待つだけだ。司会者が出席者の一人に披露宴の感想を聞こうとマイクを向けた。お祝いの言葉を述べた後に、突然「それでは皆さん三本締めをしましょう」。誰もが知る著名人。皆戸惑ったが、「いよーっ」の掛け声で、思わず三本締めにのってしまった。主催者である両家は苦々しい思いでその光景を見ていた。

 手締めは本来、行事が無事に終了したことを主催者が協力者に感謝するために行うもの。音頭は主催者がとり、来賓は頼まれても断るのが礼儀とされている。

 大相撲春場所は白鵬が全勝優勝を飾った。優勝インタビューで「平成最後なので」と言い、観客に三本締めを促した。向正面(むこうじょうめん)に座っていた私は「またか」と絶句した。

 なぜなら、その後も表彰式、さらに「出世力士手打式」が行われる。新弟子が土俵に上がって、ここで三本締めを行う。最後に行司を胴上げし、本場所前に土俵祭りでお迎えした神様をお送りする「神送りの儀式」で終わる。

 白鵬の奔放な振る舞いをこのまま放置すると、そのうちアナウンサーからマイクを奪い、歌を歌うなどのワンマンショーに発展しかねない。

 結びの一番で右腕を負傷し、左腕だけで賜杯を受け取っていたが、どんなに痛くても両腕で受け取ってほしかった。三本締めをしたように。天皇陛下からいただくありがたい賜杯ではないか。

 優勝インタビューでの振る舞いは、お客さんを楽しませるための計らいであって、白鵬をいじめるなと怒る人もいるだろう。

 だがそれだけではない。最近の白鵬は足裏の砂を俵でぬぐったり、柏(かしわ)手(で)を打つ手のたたき方が自己流になったりしている。よその国の伝統文化に身を置いている以上、そのしきたりに従わなければならない。強くなることだけで、分をわきまえることや長幼の序といった日本の文化を教えてもらえなかった白鵬も哀れでならない。

 相撲協会は白鵬の振る舞いを厳しく指導することによって、批判を浴びるかもしれない。しかし、「ダメなものはダメだ」という毅然(きぜん)とした態度を貫いてほしい。

 江戸時代、会津藩では町ごとに子供たちが「什(じゅう)」という集団をつくっていた。その教えは「年長者の言ふことに背いてはなりませぬ」、「卑怯(ひきょう)な振舞をしてはなりませぬ」などいくつかあった。

 規律を乱す者がいると、組織は崩れていく。什長はこうした掟(おきて)を話した後、有無を言わせず、最後は決まってこう締めくくっていた。

 「ならぬことはならぬものです」

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