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【負けるもんか】失点後も勝負は続く「もう一度プロに」 公認会計士、奥村武博さん

 かつての先輩や同期の活躍と自らの境遇を比較し、「自分は将来どうなるのだろう」という焦燥感ばかりが募っていった。阪神の勝利に沸く大阪の街を、一歩引いた目で見つめていた。

 そんな中、帰宅すると資格を紹介するガイド本が置いてあった。後に妻となる恋人が、奥村さんの葛藤する様子を見かねて買ってきてくれたものだった。

 税理士、医師、弁護士。「こんなに色々な仕事があるんだ」。ページをめくるたびに視野が広がっていく気がした。やがて「公認会計士」の文字に目がとまる。受験資格要件がなくなり、高校しか卒業していなくても挑戦できるという。「目指すしかない」。縁のようなものを感じていた。

■ ■ ■

 公認会計士試験は「短答式」「論文式」の2段階に分かれている。働きながら予備校に通い、18年に初めて短答式試験を受験。慣れない勉強に試行錯誤しながら、4度目の挑戦となる21年に合格した。高校時代の授業で簿記を習い、日商簿記検定2級を取得していたことも役立った。

 翌年からの2年間は短答式の受験が免除されるが、その後、論文式で不合格が続く。ついに試験で「三振」してしまう。振り出しに戻ったと感じた。

 くしくも、資格予備校で働きながら勉強していた時期。合否発表日に開かれた合格祝賀会では合格者の案内などを担当した。平静を装っていたつもりが、予備校役員が連れ出してくれた食事の席で涙があふれた。

 折れかけた心を支えてくれたのも、妻だった。「中途半端で逃げ出したら、この先も言い訳し続ける人生になる。あきらめたらあかん!」。25年、短答式と論文式に合格。34歳。一番に妻に報告した。

 「試験勉強だけしていたら受からなかったと思う」と奥村さん。最悪の場合を想定して、資格予備校で収入を確保しながら簿記1級にも挑戦した。こうした日々は「1点を失っても次のバッターでアウトを取る野球に似ている」と感じる。

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