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【耳目の門】(6)石井聡 がん闘病 池江璃花子選手をどう励ます

 記者も3年余り前に膀胱(ぼうこう)がんが見つかり、1年数カ月の間に4回の入院、手術を経験した。腫瘍の進達度は「T2」レベル。臓器を温存し、内視鏡で手術する治療方法をとったが、術後は重い炎症が1カ月続く。

 合併症や早期の再発も1回ずつ経験した。現在は小康状態にあるが、年に数回ある内視鏡検査はいまも憂鬱だ。無事に終わった日の晩は「また生き延びたか」と飲食の節制が緩む。

居場所への不安

 入院は毎回1週間弱。手術日も含め、仕事のファクスやメールはスマホに送ってもらった。退院日はそのまま出勤した。自発的にそうしたのは、仕事のペースを少しでも崩したくなかったからだ。自分の居場所が会社にあり続けるかという漠然とした不安はあった。

 仕事柄、神経がずぶとくなっているためか、かけられた言葉で傷つくことはめったにない。ただ、退院後に「やせましたね」と言われるのは気になった。「あの人、がんだからやせていく」と思われたくなくて、無理に食べた時期もある。

 「二人に一人はかかる」(生涯でがんと診断される確率)という表現は、発症した人への気休めとなる面はあるが、ピンとこない。一方、医療技術が進んでいる割には「死亡率」の高さが強調される。だからニュースになる。

 とくに「ステージ」ごとに表記される5年生存率といった数字は、出し方によっては闘病の妨げとなりかねない。周囲が軽々に口にすべきものでもなかろう。

 闘病はときに壮絶なものに及ぶ。そのさなかの人に、根掘り葉掘り聞かれて答える余裕はない。

 「100万回生きたねこ」で知られる絵本作家、佐野洋子さんは乳がんのため72歳で亡くなった。転移し、余命2年の宣告を受けて書いたエッセー「死ぬ気まんまん」(光文社文庫)は痛快だ。

 「ガンだけ威張るな。もっと大変な病気はたくさんある」といった調子である。病気でクヨクヨしたくない人にはお勧めだ。

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