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【スポーツ記者リポート】手倉森監督、長谷川監督と矢野監督の共通項

 プロ野球阪神を指揮する矢野燿大(あきひろ)監督を取材していると、おや、と感じることがある。選手について、名字ではなく下の名前で呼ぶことだ。

 日本ハムの栗山英樹監督が大谷翔平(エンゼルス)を「翔平」と呼んでいたように珍しいことではない。それでも、上下関係が厳しい野球界では指導者が選手について語るとき名字を用いるケースが多い。「名前」を使う呼び方は、選手に寄り添って可能性を引き出す矢野流の指導哲学が根底にあるように思われる。

 たとえば、監督が情熱を注ぐ若手育成について話すときだ。「ホームランを打てるのが(大山)悠輔の魅力」、「(高山)俊(しゅん)も(中谷)将大(まさひろ)も(昨年に)苦しんだ分、なんとかしたいという思いが伝わる。競争が激化してくれれば」…。成長株の選手の下の名前を呼んで熱っぽく語る姿に、若手の可能性を広げて一人前に育てようとする気概がひしひしと伝わってくる。

 サッカー取材の長かった記者は、「下の名前呼称」を用いる優れた指揮官に何人もお会いしている。リオデジャネイロ五輪のサッカー男子代表監督を務め、現在、J2長崎を指揮する手倉森誠氏がそう。リオ五輪チームでは個別面談に加え、宿舎での食事や廊下などでも積極的に会話。同じ高さの目線から選手個々の長所をダイレクトに伝え、気持ちを乗らせた。

 J1G大阪を国内3冠などに導いた長谷川健太氏(現FC東京監督)は筑波大出身で厳格なイメージがあるが、選手をあだ名や下の名前で呼ぶ。G大阪では選手の発想を重んじる攻撃戦術を取り入れて強豪に押し上げた。両氏の指導法は矢野監督同様に、選手との対話を重視し、自立心を植え付けて成長を促すスタイルが共通している。

 「下の名前呼称」には、チームの一体感を醸成する効果も期待できそう。名前の呼び方だけでなく、歴代阪神監督にあまり見られなかった矢野流の選手操縦術にはこれからも注目したい。(吉原知也)

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