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座ってアタック! シッティングバレーボール選手権で日本代表選手が活躍

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 バレーボールを基にしたパラスポーツで、東京パラリンピック実施競技のシッティングバレーボールのクラブ日本一を決める「第22回日本シッティングバレーボール選手権大会」が12月8日と9日、東京都武蔵野市の武蔵野総合体育館 で開かれた。男子は千葉パイレーツ(千葉)が3連覇を飾る8度目のV。女子は東京プラネッツ女組(めぐみ)黒が4連覇を果たした。

座ってアタック、サーブをブロック

 シッティングバレーは選手がでん部を床につけた状態でプレーするバレーだ。ルールでは6人制バレーと共通する部分が多いが、サーブをブロックできるといった違いも存在する。

健常者のバレーにも負けないスピードと迫力
健常者のバレーにも負けないスピードと迫力

 コートは縦が5メートル横が6メートルで、面積で言えばバレーのコートの半分以下。ネットは男子が1.15メートル、女子が1.05メートルで、体格が小さい選手でも手首から上がネットに出る程度の高さだ。ボールは健常者のバレーと同じものを使う。 下肢などに障害を持つ人のためにオランダで考案されたスポーツだが、国内では障害者と健常者、子供と大人が一緒に楽しめる競技として知名度を高めつつある。

 パラリンピックなどの国際大会では障害の程度によって選手をクラス分けし、コートに入ってプレーできる軽度の障害の選手は1人までと制限を設ける。日本選手権では、コートに障害を持つ選手が1人以上いれば健常者もプレーに参加できるというルールで、男女計26チームすべてで健常者がエントリーした。また男子のチームに女子選手が入ることも認められていた。

女子MVPは17歳

 女子決勝で日本代表のセッター、齊藤洋子選手や小方心織史(おがた・しおり)選手らを擁する東京プラネッツ女組黒が、京都おたべーず花子(京都)を25-19、25-18で下した。

相手チームの攻撃に備える齊藤選手(5)と小方選手(6)
相手チームの攻撃に備える齊藤選手(5)と小方選手(6)

 他を寄せ付けない強さで大会を制したが、齊藤選手は「誰の調子が良いのか見きわめきれませんでした」と自分のプレーを厳しく評価していた。日本代表の中心としての自覚も強い。10月にインドネシアのジャカルタで開催されたアジアパラ競技大会では5カ国中3位で、目標としていた2位以上に届かなかったことを振り返り「うちのエース(小方選手)は世界でもベスト3に入れるのに、勝てる試合を落としてしまっています。エースを支える周りを強化していきたい」と語った。

 ベテランの熱気は次世代にも届いているようだ。同チーム最年少の17歳で、女子のMVPに選ばれた日本代表メンバーの波田みか選手は「東京パラリンピックまで残り少ないですが、基本的な動きを徹底的にスキルアップして、試合に出てメダルを獲りたい」と意気込む。

東京プラネッツ女組黒の波田選手
東京プラネッツ女組黒の波田選手

 波田選手は小学6年生で骨肉腫を患い、右膝を人工関節にした。小学 1年生から続けていたバレーの経験は、レシーブの手の形や、セッターとして状況を判断する力などでシッティングバレーに生かされているという。身近に日本代表のセッターである齊藤選手がいるのも励みになっているようだ。「洋子さんの動きはすごく速くてキレがある。見習いたいと思います」。

 今大会の決勝戦ではサーブから流れを作り連続ポイントで優勝を引き寄せた。いつも笑顔を絶やさない若きムードメーカーでもあり、今夏から先輩たちに推されチームのキャプテンを任されている。2020年までに技術面でも精神面でもさらなる成長が期待できるだろう。

チームを牽引する“レジェンド”

 男子のMVPには優勝した千葉パイレーツの加藤昌彦選手が輝いた。加藤選手は2000年のシドニーパラリンピックなどに出場した“レジェンド”。決勝戦では、球酒玉会 埼玉レッドビーズ坊主(埼玉)を25-14、25-13と圧倒する原動力となった。

千葉パイレーツの加藤選手(4)
千葉パイレーツの加藤選手(4)

 千葉パイレーツは3年連続8回目の優勝。加藤選手は以前より選手層が厚くなったと話す。「東京パラリンピックのシッティングバレー競技は千葉市の幕張メッセで開催されます。県と市がシッティングバレーのことを多くの人に知ってもらおうと体験会などを開いてくれるおかげで、関心を持った障害者と健常者が10人以上もチームに入ってくれました。新しいメンバーが入ると初心に戻って練習できるので、それが今回の成績につながったのかもしれません」

 パワフルなプレーを持ち味とする日本シッティングバレー界のレジェンドも来年は50歳。「大きな(年齢の)壁を知らないうちに乗り越えたと言えるように」フィジカルトレーニングに取り組んでいるという。「50間近の選手が一生懸命になっている姿を若い選手に見せられれば、自分の役目を果たせていると言えるんじゃないでしょうか」。加藤選手は、ふたまわりも違う選手にも負けないようムキになって練習しています、と笑みを浮かべていた。

千葉パイレーツの田澤選手
千葉パイレーツの田澤選手

 加藤選手とともにチームを支えた田澤隼選手はシッティングバレー歴約2年半だが、高校時代に健常者のバレーでリベロとして活躍し、春高バレーに出場した経験を持つ期待の選手だ。

 今大会には強力なサーブやスパイクを放つ健常者の選手も参加していたが、加藤選手は床ぎりぎりのところで強打を拾う守備の要として貢献。「手を床について移動するので、ボールに触るのがワンテンポ遅れてしまいます。(ネットと球筋が低いシッティングバレーは)体感スピードも速いので、次の展開を予測する守備でチームの士気を高めていきたい」と語った。

 シッティングバレーボールは東京パラリンピックの実施競技に選ばれているが、国内の本格的な普及はこれからだ。日本代表チームのパラリンピック最高成績は男子が2004年アテネ大会で、女子が2012年ロンドン大会で記録した7位。前回のリオデジャネイロ大会では出場を逃したが、東京大会は男女とも開催国枠で出場する。体格で勝る海外チームをスピードとチームワークでどう攻略していくかが見どころになるだろう。

 日本パラバレーボール協会代表理事で全日本女子監督の真野嘉久氏は「2020年はシッティングバレーボールのゴールではなくスタート、通過点だと考えています。健常者と障害者が人生を通して楽しめる競技として広まってほしい」と言葉に力を込めた。

(フジテレビ)

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