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【主張】日本のIOC委員 五輪競技の活性化先導を

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 国際オリンピック委員会(IOC)の委員に、国際体操連盟会長の渡辺守成氏が就任した。

 日本人の現職委員は、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長と合わせて2人となった。五輪競技で日本人唯一の国際競技団体トップとして、スポーツ界の現状に明るい渡辺氏には大きな期待が寄せられている。

 渡辺氏は小売り大手のイオンリテール社に勤める企業人の顔もあり、スポーツの市場価値に対する感覚は鋭い。体操界は、人工知能(AI)を活用した採点システムの導入を進めている。年々、複雑化する技をAIで解析し、採点過程を観客に分かりやすく示す。観客本位の試みには、企業勤めの経験が生かされている。

 IOC委員としては、五輪の浮沈にかかわる、より大きな課題に取り組んでほしい。

 五輪は規模の膨張に歯止めがかからず、立候補に二の足を踏む都市が増えている。若者のスポーツ離れも指摘され、電脳空間で技を競う「eスポーツ」が競技の概念を覆しつつある。

 その現状を踏まえれば、「日本のスポーツ界を変える黒船」として渡辺氏が振興に力を入れるアーバン(都市型)スポーツは、新たな活路だろう。2020年東京五輪で新採用されるスケートボードなどの新スポーツである。

 渡辺氏は4月にアーバンスポーツの祭典を広島市で開き、成功させた。音楽が流れるコンパクトな競技場内で、複数の種目を同時に見られる趣向を凝らし、計9万人近い観客を楽しませた。選手のファッションなど若者のライフスタイルを映した競技の見せ方には、渡辺氏が「クラシック(古典的)スポーツ」と呼ぶ既存の五輪競技も学ぶ点が多いだろう。

 多くの競技団体は五輪を最高峰と位置づけるが、少子化で競技人口が先細りする時勢への対策には乏しい。「恐竜と一緒で、今のままでは衰退していく」という渡辺氏の警鐘に、競技団体は強い危機感を持ってほしい。

 トップ選手の強化に傾斜するのではなく、何を五輪の遺産として残すのかを考えるべきだ。

 東京五輪は五輪史の大きな転換点になる。既存の五輪競技がスポーツのあり方、見せ方に知恵を絞る契機になればいい。渡辺氏には「クラシックスポーツ」の足元に火を付ける役割を期待する。

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