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【舞の海の相撲俵論】指導とは何か 

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 短髪に鋭い目つきで、がっちりした体格。厳しい指導で「鬼の岩城」と恐れられていた。その情熱は、高校最後の全国大会で団体3位、私を個人準優勝に導き、苦しみに耐え、勝つことの喜びを教えてくれた。名将と呼ばれるゆえんは、それだけではなかった。

 高校3年の夏休み。先生から聞かれた。「お前の兄貴は大学を卒業できるのか」。4歳離れた兄は留年することが決まっていた。「何やってんだ。だらしねえな」。その言葉の真意が分かったのは数カ月後だった。

 日大への進学が決まった直後、一通の書面を渡された。奨学金をもらえる手はずを整えてくれていたのだった。あのとき兄のことを聞いたのはそういうことだったのか。同時に3きょうだいが東京で大学生活を送ることになるわが家。そんな事情まで案じてくれた温かい“おせっかい”に胸が熱くなった。

 岩城先生は今年で74歳になる。毎年正月には教え子たちが先生の家に集う。酒を酌み交わし、盛り上がる思い出話は、先生にしごかれ、鍛えてもらった青春の日々。今になって思う。先生は相撲を通して強く生きる力を教えようとしたのではないか。30年経っても感謝の気持ちは深まるばかりだ。(元小結 舞の海秀平)

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