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【レスリング】全日本学生王者がトレセン合宿で頸椎損傷の大けが 開設以来、最悪の事故か

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【レスリング】
全日本学生王者がトレセン合宿で頸椎損傷の大けが 開設以来、最悪の事故か

味の素ナショナルトレーニングセンター=東京都北区(戸加里真司撮影) 味の素ナショナルトレーニングセンター=東京都北区(戸加里真司撮影)

 国の補償制度なし 保険の整備急務

 2020年東京五輪まで3年を切る中、レスリングの学生選手が強化拠点のNTCで深刻な事故に見舞われた。国が設置した施設だが、事故の補償制度を国は設けていない。任意加入の保険はあるものの、死亡時や後遺障害への補償が手厚いとは言い難い。

 今回のケースでは、治療やリハビリの費用負担に加え、後遺障害の補償も視野に入れた対応が必要だが、日本レスリング協会の幹部は「リスクが高い格闘技では保険料も高くなる。競技団体がカバーするには限界もある」と頭を抱える。

 学生選手を支える態勢も不十分だ。学生の部活動は「課外活動」とみなされ、安全面では責任の所在があいまいだ。保険料の負担も、所属する大学か選手個人か国内競技団体かは、対応が分かれる。

 米国では、大学スポーツで多発する負傷や死亡事故に対応する組織として、20世紀初頭に全米大学体育協会(NCAA)が発足した。スポーツ庁も平成30年度を目標に「日本版NCAA」設立を掲げ、保険加入などの窓口一本化を目指す。

 庁内のワーキンググループは競技ごとの事故情報などを集め、死亡時や後遺障害について、どの程度までカバーする保険が必要かを検討。スポーツ庁の担当者は「少なくとも安全・安心と学業が両立できる環境は、できるかぎり早く整えたい」と話す。

 日の丸を背負う覚悟で練習に打ち込む学生アスリートたちを取り巻く環境は不安定だ。重大事故への対応は最優先で進めなければならない。(川峯千尋、田中充)

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