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【舞の海の相撲俵論】強さよりも大事な何か 師弟の旅は始まったばかり

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【舞の海の相撲俵論】
強さよりも大事な何か 師弟の旅は始まったばかり

 阿武松(おうのまつ)親方(元関脇益荒雄)は、あの日のことをいまでもよく覚えている。目の前にいたのは相撲で全国に名をとどろかせる将来有望な高校生。スカウトに行ったが、もともと縁が深いわけではなく、まさか入門してくれるとは思っていない。だから、これから力士としてやっていく上で重要な心構えだけは伝えて帰ろうと本音で語りかけた。

 「お前には謙虚さと感謝の気持ちが足りない」と。

 子供の頃からたしかに相撲は強いが、試合で負けた後に舌を出すなど、土俵上の所作に相手を敬う気持ちが欠けていると親方は感じていた。だから、思ったことを率直に伝えた。

 すると、やんちゃな少年の目の色が変わる。「弟子にしてください」。返ってきたのはまさかの言葉。心に響くものがあったのだろう。そんなことを言ってくれる大人は初めてだったという。のちの阿武咲(おうのしょう)である。

 青森・三本木農高1年で国体少年個人を制覇し、角界入り。負け越すことがないまま、昭和以降で10番目に若い18歳5カ月20日で新十両に。これだけ順調に出世すれば、天狗(てんぐ)になってもおかしくない。

 だが、十両昇進会見では「感謝の気持ちと謙虚さを持って精進していきたい」と語り、「感謝」と「謙虚」の言葉を8度も口にした。実は入門してからずっと、師匠は弟子に謙虚さと感謝の気持ちの大切さを毎日説き続けてきたという。

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