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【きょうの人】甲子園初Vの花咲徳栄監督・岩井隆さん 「一歩一歩踏みしめながら」頂へ

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【きょうの人】
甲子園初Vの花咲徳栄監督・岩井隆さん 「一歩一歩踏みしめながら」頂へ

岩井隆監督 岩井隆監督

 「県民700万人の悲願」と語った埼玉県勢による夏の甲子園初制覇。その道のりを富士山登頂にたとえた。「一歩一歩踏みしめながら登っていく。勇気と精神力がなければ登れない」。苦しい練習に耐え、頂に立った選手たちに温かいまなざしを送った。

 恩師に導かれるようにして歩んだ野球人生だ。高校時代(神奈川・桐光学園)に指導を仰ぎ「投手育成の名人」とうたわれた稲垣人司前監督(享年68)に誘われ、花咲徳栄のコーチに就任。だが仕えて8年がたった頃、「おやじ」と慕っていた師が練習試合中、病に倒れる。31歳。予期せぬ監督就任だった。

 就任初年度に夏の甲子園初出場。だが、夏はしばらく聖地から遠ざかった。日付が変わる頃まで夜間練習に付き合ったものの「指示待ちでは勝てない」と実感。付きっきりの指導から脱し、自主性を育むチーム作りへとかじを切った。ベンチ入りメンバーには、自身の片腕にしてデータ分析も担う学生コーチが2人。選手が率先して考え、実践する集団に生まれ変わった。

 大会直前、甲子園練習を終えると、その足で球場に隣接する素盞嗚(すさのお)神社をお参りするのが恒例だ。「魔物に勝つには神頼みかなと」。かばんの中であふれかえる30個ものお守りの御利益かどうか、聖地にすむといわれる魔物は寄りつかなかった。

 投手陣は今大会6本塁打を放った広陵の中村に真っ向勝負を挑んだ。「おやじが死ぬ前に言ったのが『逃げたらいかん』だったんです。見てくれていると思います」。指導者の道へ導いてくれた恩師にささげる優勝だった。(細井伸彦)

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