記事詳細
【泳ぎそして想う】
競泳ヘッドコーチ・平井伯昌 リオへ、力の結集を
リオデジャネイロ五輪の代表選考会を兼ねた日本選手権で、厳しい選考基準を突破して男女34人の代表が決まった。女子では15歳の池江璃花子ら中高生が5人代表入りし、2020年東京五輪の中核と期待される世代の躍進は心強い。ただ、自己ベストを更新した選手は15人にとどまり、リレー要員としての代表入りが15人を占めることなどを考えると、喜んでばかりはいられない。
私自身、2000年シドニー五輪の代表選考会で、男子平泳ぎの北島康介が初めて代表入りを決めたときは、うれしくて夢を見ているようだった。その経験も踏まえ、今回、代表入りをしたことに達成感や安堵(あんど)感を抱いている選手、コーチが半数以上いるのではないかと感じているが、選手たちには早速、「一人一人に役割があるんだぞ」という話をした。
メダル0個と惨敗した1996年アトランタ五輪の後、日本競泳界は「チーム力」を高める戦略に重点を置き、前回の2012年ロンドン五輪では戦後最多となる11個のメダルを獲得した。
昨夏の世界選手権でメダル数が4(金3つ、銀1つ)と伸びなかった一因に、再び、所属チーム単位で物事を考えすぎていたのかもしれないという反省がある。