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【日本スプリントの挑戦(21)】つかんだ確信 桐生祥秀の“9秒87”を土江コーチはどう見たか?

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【日本スプリントの挑戦(21)】
つかんだ確信 桐生祥秀の“9秒87”を土江コーチはどう見たか?

3月29日のテキサス・リレーで、追い風参考ながら9秒87で優勝した桐生祥秀(中央)=オースティン(共同)

 3月29日早朝、衝撃のタイムが日本の陸上ファンを揺り起こした。

 桐生祥秀(東洋大)がマークした9秒87。陸上競技会「テキサス・リレー」(現地時間28日午後、米国テキサス州)男子100mで、追い風3.3mの参考記録ながら「10秒の壁」の向こう側へと大きく踏み込んだ。

 手動計時では1995年に伊藤喜剛が追い風9.3mで9秒8を出した例があるが、100分の1秒まで表示する電気計時では日本勢初の「9秒台」だった。

「結構、盛り上がっていてビックリ」

 翌30日、成田空港には高揚した喧噪があった。桐生がナショナルリレーチームのメンバーらと帰国。居合わせた旅行者らは感嘆の声を挙げ、スマートフォンのカメラを次々と向けた。

 当の19歳は「米国は、あれだけ9秒台がいるから、『日本人が出したな』くらいの反応だったけど、日本に帰ってきたら結構、盛り上がっていてビックリした」と他人事のように語り、穏やかな笑みを浮かべていた。

 普段より多い報道陣に囲まれる桐生を横目に、東洋大の土江寛裕コーチも柔らかな表情を見せた。今回の米国遠征には日本陸連の短距離副部長として帯同していた。

 桐生は昨年9月の日本学生対校選手権200mで左太もも裏を痛めて以来、実戦は約6カ月ぶり。100mに至っては同7月の世界ジュニア選手権以来、約8カ月も遠ざかっていた。今季初戦とあって、土江コーチも多くは望んでいなかった。「試合の感覚を取り戻すレース」と位置付け、タイムは「10秒2台から3台で走れればいい」と見ていた。

ブロック位置変更でスタート改善

 ただ、その中でも、注視していたのは「スタートから30mをしっかり走ること」だった。

 昨季序盤、桐生は無駄な力を使わずに推進力を得ようとスタートからの加速を模索した。辿り着いたのは、重心を意図的に前に崩すように飛び出し、転ばないように次々と足を前に運ぶ走法だった。

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