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【日本スプリントの挑戦】(19)傷だらけの4継、中国に「アジア王座」を追われた衝撃

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【日本スプリントの挑戦】
(19)傷だらけの4継、中国に「アジア王座」を追われた衝撃

2013年の世界選手権・男子400㍍リレー決勝に臨んだ(左から)飯塚翔太、桐生祥秀、高瀬慧、藤光謙司=モスクワ(桐山弘太撮影)

 韓国・仁川アジアード競技場の場内スクリーンに中国の37秒99が灯った。2014年10月2日、アジア大会陸上男子400メートルリレー(4継)決勝。日本が2007年世界選手権(大阪)で樹立したアジア記録(38秒03)が塗り替えられた瞬間だった。

 走り終えたばかりの高平慎士(富士通)が「氷!」と鋭く叫ぶ。左臀部の肉離れを押して走った高瀬慧(同)のアイシング用の氷を日本陸連スタッフに要求していた。

 日本は38秒49の2位。1998年バンコク大会以来、4大会ぶりの金メダルはならなかった。5メートルほど先に中国選手の背中を見たアンカー高瀬は呆然と言った。

 「何も考えられない」

 ■急造チームでのぶっつけ本番

 厳しい戦いになることは予想されていた。日本は大会前にエース格の桐生祥秀(東洋大)が左太もも肉離れを起こし欠場が決定。さらに、大会が始まってから高瀬が左臀部を、山県亮太(慶大)が左股関節を相次いで痛めていた。

 当初、日本は山県-飯塚翔太(ミズノ)-高瀬-原翔太(上武大)の布陣を想定していた。実際、大会直前の9月15日、甲府市で行われた山梨グランプリ2ndで、このメンバーのテストを行っている。

 しかし、29日の予選は故障した2人のうち、より状態の悪い高瀬を休ませ、山県-飯塚-高平-原。3日後の決勝は山県-飯塚-高平-高瀬と変わった。

 日本陸連の伊東浩司短距離部長によると、決勝は山県、飯塚、高瀬の3人の走順を先に決めたという。曲走路での体への負担を考慮して高瀬を直線のアンカーに、駒が足りない3走に経験豊富な高平を入れた。山県と高瀬は痛み止めを飲んでの出場となった。

 「桐生がけがをした段階で、このような状況はある程度、覚悟してやらないといけないと感じていた」と伊東部長。2走から4走までのバトンパスは決勝前の練習で合わせただけ。いわば“急造チーム”でのぶっつけ本番だった。

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