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【日本スプリントの挑戦】(17)「アジア銅」につながった高瀬慧の綿密なる準備(下)

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【日本スプリントの挑戦】
(17)「アジア銅」につながった高瀬慧の綿密なる準備(下)

仁川アジア大会を振り返る高瀬慧。レースまでの準備が結果につながった=2014年12月、千葉市美浜区の富士通

 韓国・仁川アジア大会を目前に控えた陸上男子短距離、高瀬慧(富士通)は仕上がりの良さに手応えがあった。

 「トレーニングを積んで体が重い状態で行くと、地面を捉える感覚が出る」

 機内食を腹に収め、韓国に降り立った時点で66キロ。その後の調整で、レース当日にはベストの体重64.2~3キロに落ち着いた。夏の海外転戦で削られた体は、出発直前のトレーニングできっちり筋量を取り戻していた。

 9月27日の100メートル予選は悠々と通過。だが、28日の準決勝前にアクシデントが起こる。ウオーミングアップのスタート練習、高瀬は体の奥で「ピキッ」と筋肉が弾ける音を聞いた。痛めたのは左の臀部だった。

 「すぐ分かった。でも、集中してアドレナリンが出ていたし、自分の中で押し殺してやった方がいいと思ったので」

 後に軽度の中臀筋肉離れと判明するのだが、そのまま準決勝を走り、自己記録タイの10秒13(追い風0.2メートル)で突破した。

 ■ゆっくり脚が回った方が速い

 高瀬は大会に先立つ9月初旬から、メンタルトトレーニングを取り入れている。「きっかけが欲しかったんですよ。海外に行くとリズムが崩れたりするんで。変えるタイミングが欲しかった」。指導を受けたのは、2008年北京五輪金メダルのソフトボール代表でメンタルコーチを務めた臼井博文氏だ。これが、うまくはまった。

 「プラスアルファの力が出せる時って、感謝の気持ちがあって、レースにすっと入っていける」と高瀬。本来、出場するはずだった桐生祥秀(東洋大)の分も自分が走るという気概、所属する富士通への恩義、アジア大会では心と体が一致していたという。連日、就寝の10分前には翌日のリハーサルを頭の中で行った。

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