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【ラグビー】夢に突き進む“ラガール” 女子7人制でリオ五輪目指す平野恵里子

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【ラグビー】
夢に突き進む“ラガール” 女子7人制でリオ五輪目指す平野恵里子

 故郷に思いをはせながら楕(だ)円(えん)(だえん)球を追う選手がいる。岩手県大槌町出身の平野恵里子(日体大4年)だ。東北人らしく、愚直に粘り強く努力を重ね、7人制ラグビーでの2016年リオデジャネイロ五輪出場を目指す。(橋本謙太郎)

 心に迷いはない。22歳のトライゲッターは日焼けした顔で、「代表になるしかない。可能性を信じて力をつけたい」と、言葉に力を込める。

 楕円球への思い入れは強い。小学1年生のとき、兄や姉が通っていた縁で釜石市内のラグビースクールに通い始めた。

 中学時代の一時期、ラグビーから離れたこともあったが、釜石高進学後は陸上部の短距離選手として活躍する一方、2年冬からはラグビー部で男子に混じり練習することも。女子は他にいなかったが「子供の頃も男子と一緒にやっていたし、抵抗はなかった」と笑う。この頃から目標はリオデジャネイロ五輪だった。

 東日本大震災の発生は、高校の卒業式から10日後のことだった。家族は無事だったが、実家は全壊した。身の回りの物もすべてなくなった。日体大進学は決まっていたが、故郷を襲った大惨事に「先のことよりも、この現場のことしか考えられなかった」。

 明日が見えない日々の中で進学をやめることも考えたが、踏みとどまらせてくれたのは、父の博美さんだった。博美さんは「(地元に残るよりも)目的を持って行くのだから進学した方がいいと、半ば強引に行かせました」と語る。

 あれから3年半。「趣味はウエートトレーニング」というほどの生真面目さで、速さと堅実な防御が持ち味のWTBとして成長を続ける。今年3月には日本選抜として香港女子セブンズに出場。8月には学生日本代表として世界学生選手権の舞台に立つなど、着実に階段を上ってきた。

 両親や祖母ら家族はいまも仮設住宅で暮らしている。「ラグビーに集中させてもらっている。応援してくれているし、感謝しています」との言葉に実感がこもる。

 来春には大学を卒業した後も首都圏に残り、ラグビーを続ける。「期待されていると感じる。(被災地に)明るいニュースを届けたい。頑張らなきゃと思います」。復興への願いを込め、真っすぐに夢に突き進む。

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