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【スポーツ群像】眠れぬ夜を越えろ! 早大・柳利幸の箱根駅伝

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【スポーツ群像】
眠れぬ夜を越えろ! 早大・柳利幸の箱根駅伝

 20歳のランナーにとって大きな意味を持つレースだった。早大の柳利幸(2年)。1月3日、東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)で走った7区の出来は、その後の競技人生を閉ざす危険性すらはらんでいた。

 事の始まりは昨年10月の出雲全日本大学選抜駅伝にさかのぼる。柳は1区に起用されるも区間9位。続く同11月の全日本大学駅伝でも1区で区間15位と出遅れた。早大は波に乗れず、両レースとも4位に終わった。

 当時を振り返り、柳は「精神的に追い込まれていた」と語る。不本意な結果はピーキングの失敗というより、精神面の問題だったという。布団に入っても目が覚めた。睡眠薬を飲まないと寝付けないほど、その“傷”は深かった。

 埼玉県出身。将来の夢に「国際弁論大会出場」を掲げ、早稲田本庄高までサッカー部に所属していたという異色の選手だ。抜群の持久力を生かし、高校2年の冬から陸上競技に転向。大学に進むと、いきなり1年から箱根駅伝に8区で出場し、昨年の日本インカレ1万メートルは自己記録の28分59秒12をマークして6位に食い込むなど急成長を見せていた。

 そんな有望株がはまった泥沼。早大の渡辺康幸監督は「どこかで自信を付けさせたい」と考える半面、もし次のレースでブレーキにでもなれば「もう走りたくなくなるかもしれない」と危惧していた。

 迎えた箱根駅伝。柳は当初、補欠登録だった。渡辺監督は往路をトップ東洋大と5分9秒差の3位で折り返すと、当日の変更で、柳を4年の田中鴻佑に替えて7区に投入する。田中の状態や天候、区間特性などを総合的に判断しての決定だったという。

 今季、早大は主将の大迫傑が米国遠征や世界選手権出場などのためチームを離れることが多かった。その間、大迫と連絡を取りながらチームをまとめてきたのが、この田中だ。

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