巨人・杉内俊哉引退 松坂大輔の背中追った野球人生

プロ野球
引退会見で涙を浮かべる巨人・杉内俊哉=12日、東京ドームホテル(撮影・矢島康弘)

 引退決断の理由を聞かれたとき、眼を赤くし、言葉を詰まらせた。「心のどこかで野球選手でなくなっているな、というのがあった。心から後輩を応援するようになっていた。勝負師として、違うかなと感じた」。絞り出した言葉に、悔しさが垣間見えた。

 最後の3年間は左肩痛などで体が言うことを聞かなかった。今季序盤にはすでに引退が頭にあったという。それでも少し状態が良くなると「もっとできるかも」との思いが募った。シーズン終盤になった2週間前、「もう潮時」と球団に身を引くことを伝えた。

 切れ味鋭い直球に、スライダーなど多彩な変化球。積み重ねた2156奪三振は現役最多だ。巨人1年目にはノーヒットノーランも達成した。忘れられない一戦にこの試合を挙げ、「飛んだ打球が運良くミットに収まったという感じだった」と謙虚に振り返った。

 背中を追いかけてきた選手がいる。同学年の松坂大輔(中日)。高校時代に対戦し、「高校生が投げるボールではない」と衝撃を受けた。それ以降、松坂を目標に腕を振り続けてきた。「彼をずっと追い掛けてきた同級生はいっぱいいる。僕もそう。彼が同級生のレベルを上げてくれた」

 会見の最後。チームメートの内海哲也から花束を贈られ、握手をかわすと、また涙がこみ上げてきた。「野球は体の一部。野球あっての人生だった」。「ドクターK」と呼ばれた左腕の17年間が幕を閉じる。(浜田慎太郎)