相手への敬意忘れぬ新女王・大坂なおみ 近づく世代交代…“絶対女王”S・ウィリアムズの道筋重なる

全米テニス
試合前に往年の名プレーヤー、ビリー・ジーン・キングさん(中央)と写真に収まる大坂なおみ(左)とセリーナ・ウィリアムズ=ニューヨーク(AP)

 テニスを始めた3歳のころからあこがれ続けた「女王」を破っての四大大会初優勝。長年の夢をかなえた大坂なおみ(日清食品)は、ネット際でセリーナ・ウィリアムズ(米国)に抱きしめられた瞬間、「子供のころに戻った」。両目から大粒の涙があふれた。

 試合は、S・ウィリアムズが受けた度重なる警告を不満とする客席の大ブーイングの中で終わった。「こんな終わり方ですみません」。表彰式でも相手に対する敬意を忘れなかったが、平常心を保った新女王のプレーは圧巻だった。

 大坂は序盤からサーブとストロークが好調で、第1セットの第3ゲームで相手のサービスゲームをブレークした。第5ゲームでも鋭いリターンでブレークに成功し、このセットを6-2で先取した。

 第2セットは、第4ゲームで先にS・ウィリアムズにブレークを許した。観客の大声援を味方にした四大大会23勝の“絶対女王”に流れが傾きかけた。

 「試合のなかで一番集中した」と大坂。直後の第5ゲームをブレークバックされたS・ウィリアムズのイライラは沸点に達した。

 第2ゲームで客席のコーチから指示を受けたとして警告を受けていたS・ウィリアムズは、ラケットをコートにたたきつけて2度目の警告を受けた。第7ゲーム終了時には主審に暴言を浴びせ、第8ゲームは戦わずして失った。度重なる中断にも、冷静さを失わなかった大坂に軍配が上がった。

 コートから離れると、素朴で飾り気のない人柄が周囲を魅了する。優勝の感慨も、20歳らしさが全開だった。記者会見では、今晩の過ごし方を聞かれ、「ビデオゲームをすると思う」と笑いを誘った。

 今大会、武器の強打だけでなく、フットワークを生かしたストローク戦や、緩急をつけたサーブでも成長をみせ、今年3月のマイアミ・オープンに続きS・ウィリアムズに連勝した。

 S・ウィリアムズは20歳から21歳にかけて、四大大会4連勝を飾った。10月16日で21歳となる大坂は、あこがれの選手と同じ道を歩もうとしている。女子テニス界の世代交代が近づいている。(ニューヨーク 上塚真由)