注目の「レジェンド始球式」 松井秀喜、定岡正二氏ら往年の姿に甲子園大盛り上がりだが…

スポーツ異聞
始球式に登場した水野雄仁氏=甲子園球場(鳥越瑞絵撮影)

 今年、全国高校野球選手権は100回の記念大会。レジェンドが連日、猛暑の甲子園で始球式を行っている。

 8月5日に行われた開会式後の星稜(石川)-藤蔭(大分)の始球式では、星稜OBの松井秀喜氏が登場。なんか、出来過ぎた話だが、当の松井氏はまさかのワンバウンド投球。「この年になって甲子園の魔物に襲われた」と名言?いや迷言?を残した。

 松井氏が始球式を行うのに、異議を唱える人は少ないかもしれない。何しろ、明徳義塾(高知)戦の5打席連続敬遠という甲子園史に残る“大事件”の当事者というだけでなく、巨人、米大リーグ、ヤンキースなどで日米通算2643安打、507本塁打をマークした強打者だ。

 しかし、それ以外の人はどうだろう。石井毅(箕島)、定岡正二(鹿児島実)、牛島和彦(浪商)、平松政次(岡山東商)、谷繁元信(江の川)、水野雄仁(池田)、本間篤史(駒大苫小牧)、中西清起(高知商)、安仁屋宗八(沖縄)、板東英二(徳島商)、金村義明(報徳学園)、中西太(高松一)、桑田真澄(PL学園)、佐々木主浩(東北)、太田幸司(三沢)と井上明(松山商)の各氏。

 これだけの人たちを集めた主催者の努力には敬意を表する。しかし、である。当然ながら全員が甲子園出場経験者なのだが、他にも経験者は大勢いるはず。どういう基準で選んだのか、良く分からないのだ。

 石井氏は、あの史上最高の試合とされた1979年夏の箕島-星稜の延長十八回試合を投げ抜き、春夏連覇を遂げたエース。これは、レジェンドと呼ぶにふさわしい。

 水野氏、本間氏、金村氏、井上氏(太田氏は準優勝)らは夏の大会で優勝を経験。桑田氏も夏の大会で2度、全国制覇をしている。このあたりの人選は順当だろう。

 ちなみに、平松氏、中西氏は夏の大会では優勝していないが、選抜大会では全国制覇をしている。

 定岡氏は、確かに人気者だったが、4強止まり。谷繁氏は江の川でベスト8止まりで、佐々木氏も東北で3季連続で甲子園に出場したが、最高は8強。さほど目立ったという印象はない。いずれも、プロで大活躍のインパクトの方が強い。「怪童」と評判だった中西太氏も4強止まりである。

 安仁屋氏は沖縄で夏の甲子園に出場したが、1回戦で敗れている。

 20~30代の若い世代がいないのは、プロ野球や社会人などで現役でプレーしている選手が多かったためだろう。「ハンカチ王子」の愛称で人気を誇った斎藤佑樹(早実、現日本ハム)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭、現阪神)ら優勝投手を呼ぶのは至難の業だ。

 さほど知名度はなくても、歴代優勝投手を紹介するとか、優勝チームの主将を紹介するなど、もう少し“100年目の夏”にふさわしい人選があったのではないか、と思ってしまう。