難病を乗り越え最初で最後の快走 順大・花沢賢人 「陸上やめよう」思いとどまらせた仲間の「箱根を一緒に走ろう」

箱根駅伝
第94回箱根駅伝 総合11位でゴール、シード権を逃し悔しがる順天堂大10区・ 花沢賢人=3日、東京都千代田区大手町(春名中撮影)

 東京箱根間往復駅伝で3日、難病と闘い続ける順大の花沢賢人(21)が復路の10区を走った。最初で最後の箱根路は格別だった。沿道から絶え間なく耳に飛び込んでくる激励の声を「とても楽しかった。これだけの声援を送られて走ることはなかったし、今後もない」と振り返った。

 千葉・八千代松陰高時に5千メートルで超高校級と考えられる13分台をマークし順大に進学した。

 しかし、1年時の箱根を発熱で欠場すると、2年時に発症した腰痛は骨と靱帯(じんたい)の接合部で炎症が起こる「強直(きょうちょく)性脊椎炎」と診断された。治療法も確立されていない難病で「陸上をやめようか」と何度も自問自答してきた。

 踏みとどまらせたのは仲間の存在だった。主将の栃木渡ら同級生に「1度は一緒に箱根を走ろう」と励まされ、心を奮い立たせた。

 季節の変わり目に腰の痛みが増すため出場を諦めかけた昨秋は「俺だってみんなと箱根を走りたいんだ」と練習に食らいついた。

 10区は次期大会のシード権を獲得できる10位と1分4秒差でスタート。「後輩にシード権を」と果敢に攻めた。14秒届かず11位に終わったものの、チームが目指す「逃げる選択肢を捨てろ」を体現した背中を後輩に示し続けた。

 卒業後も実業団で競技を続ける。病は完治しておらず、当面の目標は「走るのは楽しい。次は実業団の駅伝選手を目指します」という。困難に打ち勝ち箱根を走ったランナーは、また新しい喜びを見つける。(奥山次郎)