「応援が共生社会への第一歩」萱場明子・東京都パラリンピック部長に聞く

月刊パラスポーツ
インタビューに答える東京都オリンピック・パラリンピック準備局の萱場明子パラリンピック担当部長(寺河内美奈撮影)

 2020年東京オリンピック・パラリンピックまで3年。昨夏のリオデジャネイロ大会を機にパラリンピックに注目が集まっているが、より重要なのは障害者スポーツ(パラスポーツ)の振興だ。応援プロジェクト「TEAM BEYOND(チーム ビヨンド)」など、多様な振興策に取り組む東京都オリンピック・パラリンピック準備局の萱場明子パラリンピック部長にその意義と現状や課題を聞いた。(蔭山実)

 --東京都が障害者スポーツ振興に取り組む理由は

 「東京パラリンピックの成功をバネに共生社会の実現を図ることが重要です。都はすべての人がスポーツを楽しめる『スポーツ都市 東京』を目指しており、障害者も意思と能力に応じて自己実現ができるよう、お手伝いしたい。そのためには、人々に関心を持っていただき、ぜひご協力をいただきたい」

 --振興策の内容は

 「理解促進と普及啓発、場の開拓と人材育成の環境づくり、そして競技力の向上。特別支援学校の施設を障害者スポーツの場に提供するほか、施設の利用促進マニュアルを作りました。聴覚障害者には情報を目で見えるようにする。ロープを床にテープで張れば視覚障害者の導線が作れる。工夫すれば、地元の施設を使えます」

 --選手の育成は

 「自国の選手が活躍すれば、大会は盛り上がり、その競技の裾野が広がります。そこで一昨年に始めたのが選手発掘プログラムです。競技を体験し、競技団体が能力を見極め、練習につなぐ。毎回200人を超える応募があります。競技団体には『わたくしどもは仲人です』と言っています。鍛えられて強化指定選手になり、東京大会に出てくれたらうれしいです」

 --一般校も訪問した

 「障害のある人は特別支援学校だけではなく一般校にもいます。能力を秘めていながら、体育の授業は見学していることがある。説明に行ったら多くの人が参加してくれました。校長方には、パラリンピックに生徒さんが出たら、休校してバスで応援に行ってくださいとお願いしました。3年後の約束を待つという感じでしょうか」

 --「TEAM BEYOND」とは

 「障害者スポーツのファンを増やそうというものです。パラリンピックという言葉は82・9%の都民が知っており、障害者スポーツに関心のある人は58・0%ですが、会場で観戦したことがあるかと尋ねると1・3%。東京大会が盛り上がらないと障害者スポーツの関心も冷えていくのではないかと心配です」

 --ファンは増えてきた

 「今月11日には、陸上の大会で試合後に選手とファンが交流する場も作りました。見るとハマる人が多いんです。肩肘張らずに応援する。好きな競技やチームが見つかれば、パラリンピックがなくても応援に行く。また、無関心の人にも気に留めてもらえるよう、障害者スポーツの情報が当たり前のように身の回りにある状況も作っていきます」

 --障害者スポーツ振興は誰にとっても重要

 「誰もが老います。障害者スポーツ振興はひとごとではありません。障害者の自己実現は高齢者の社会参加にもつながります。共生社会の実現のための手法の一つが障害者スポーツの振興です。また重要なことですが、企業には東京大会後も障害者スポーツを支えていただきたいですね」

 --いま伝えたいことは

 「まずは応援に行ってほしい。次に、選手や競技団体を側面から支えていただけないか。寄付も必要ですが、大会運営、翻訳、会計、法務、HP更新と、多方面で困っており、専門的な力も貸していただきたい。最後に、東京パラリンピックには世界各国から素晴らしいアスリートが集まります。ぜひ足を運んでください」