虎ノ門・麻布台から、さらにその先へ 「ヒルズ」がつなぐエコロジカルネットワーク

約6000㎡もの中央広場を中心に、エリア全体が圧倒的な緑に包まれ、3棟の超高層タワーが融合する「虎ノ門・麻布台プロジェクト」

主要国が脱炭素の目標を掲げるなど、世界は持続可能な未来に向け取り組みが加速している。そうした中、1986年開業のアークヒルズで画期的な屋上緑化を実現するなど、再開発事業を通じ環境面でも先進的な取り組みを進めてきた森ビルが、2023年に開業する「虎ノ門・麻布台プロジェクト」において、“Green”と“Wellness”をコンセプトに掲げて、都市の低炭素化、生物多様性の保全、省エネルギー化、真に豊かな健康など、世界中が頭を悩ませているさまざな課題に対する1つの解を提案しようとしている。

さらに、東京都の港区を中心としたこれらの再開発により、都内の緑や生態系がつながり、エコロジカルネットワークを形成することで、東京は環境面でも魅力を増し、「都市の磁力」を高めていく。

緑に包まれた「広場」のような街
「虎ノ門・麻布台プロジェクト」を支える
“Green”と“Wellness”

自然と調和した環境で人々が集い憩う街

2019年8月に着工した「虎ノ門・麻布台プロジェクト(虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業)」は、森ビルが30年の歳月をかけて進めてきた大規模都市再生事業である。アークヒルズに隣接し、文化都心・六本木ヒルズとグローバルビジネスセンター・虎ノ門ヒルズの中間に位置するこのエリアで、森ビルはこれまでのヒルズで培ったすべてを注ぎ込み、「ヒルズの未来形」となる都市づくりを推進している。プロジェクトの始動を発表した記者会見で辻󠄀慎吾社長は、「これは、都市生活の未来、東京の未来を提案する新たな挑戦」と明言した。

プロジェクトのコンセプトは、「緑に包まれ、人と人をつなぐ『広場』のような街― Modern Urban Village ―」。その実現に向け、プロジェクトは「Green」と「Wellness」の2つを柱に、圧倒的な緑に包まれ、自然と調和した環境の中で多様な人々が集い、人間らしく生きられる新たなコミュニティづくりを目指している。

特に「Green」においては、「虎ノ門・麻布台プロジェクト」を象徴する緑化空間を実現するため、従来の都市づくりとは全く逆のアプローチを採用。建物の配置計画から着手する従来の手法ではなく、まず人の流れや人が集まる場所を考え、街の中心に約6000㎡もの広場を据えた上で、そこに3棟の超高層タワーを融合させている。

こうして生み出したオープンスペースに加え、高低差のある地形を生かし、低層部の屋上を含む敷地全体を緑化することで、約2・4haという広大な緑地を確保。多様な樹木や草花、水辺を配した緑と水がつながるランドスケープを創出し、ここに住む人、ここで働く人、そしてここを訪れる人に、自然あふれる憩いの場を提供するのである。そのスケールは、本プロジェクトよりも区域面積が広い六本木ヒルズの緑化面積が約1・9haであることからも、いかに緑豊かな都市づくりであるかがわかる。

さらに環境への配慮という面では、企業が使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うと宣言する国際的なイニシアティブ「RE100(Renewable Energy 100%)」に対応する電力を、入居テナントを含む街全体へ供給。加えて、建築や都市の環境戦略やその実現法を評価する国際的な認証「LEED-ND(Neighborhood Development)」を取得予定だ。

多様な樹木や草花、水辺が配され憩いの場となる中央広場
心身ともに健康で誰もが生き生きと暮らす

また、森ビルが理想とする複合用途のコンパクトシティとしての機能も高度に具現化。地上約330mのタワーを含む3棟の超高層タワーは、オフィス、住宅、ホテル、商業施設、文化施設、インターナショナルスクールなど多様な用途で構成している。

「虎ノ門・麻布台プロジェクト」のもう一つの柱である「Wellness」においては、医療施設を核としてスパやフィットネスクラブ、レストラン、フードマーケット、広場、菜園などさまざまな施設をメンバーシッププログラムで結ぶとともに、外部施設や医療機関とも連携。この街に住み、働くことのすべてが、心身ともに健康的で、社会の中で生き生きと暮らすことができる「Wellness」につながる仕組みを考えている。

それを裏付けるように、本プロジェクトは建物などの空間を「人間の健康」という視点で評価する「WELL(WELL Building StandardTM)」認証の取得を予定しており、登録面積としては世界最大規模となる。

そして、このコンパクトシティの内外にある施設が高度に連携することで、「暮らす」「働く」「集う」「憩う」「学ぶ」「楽しむ」「遊ぶ」など、人の営みがシームレスにつながる街が誕生するのである。

なお、森ビルが「虎ノ門・麻布台プロジェクト」を資金使途として発行した公募形式のハイブリッド社債(劣後特約付社債)(グリーンボンド)が、今年1月、「第6回(2020年)サステナブルファイナンス大賞」において、「グリーンボンド賞」を受賞した。国内ESG債史上最多となる111件の投資表明がなされるなど、投資家からも高い評価を受けている。

  • ■ 「RE100(Renewable Energy 100%)」は、企業が事業で使う使用電力を2050年までに100%再生可能エネルギーで賄うことを宣言する国際的なイニシアティブ(企業連合)。2014年に創設され、2021年3月時点ではグローバルで290社以上が加盟し、日本企業も50社加盟している。
  • ■ 「LEED」は、最高クラスの建築や都市の環境を作るための戦略、さらにそれらをどう実現させるかを評価する認証プログラムである(一般社団法人グリーンビルディングジャパンより)。なかでも「LEED ND (Neighborhood Development)」は、複合的なエリア開発の計画段階から設計・施工までが評価される。
  • ■「WELL(WELL Building Standard TM)」は、人々の健康とウェルネスに焦点を合わせた建築や街区の環境の性能評価システム。より良い建物を通じて人の健康をサポートし、向上させるための10のコンセプト(空気、水、食物、光、運動、温熱快適性、音、材料、こころ、コミュニティ)で構成されている(一般社団法人グリーンビルディングジャパンより)。たとえば、外気を高性能フィルターを通して取り入れることで室内空気環境を向上させること、提供する食事が健康的であること、気軽に自然とふれあう機会があることなどが評価される。
  • ■ 「サステナブルファイナンス大賞」は一般社団法人環境金融研究機構が主催し、環境金融やESG投融資などの分野で目覚ましい活躍をした企業等を顕彰するもの。また「グリーンボンド」は、環境により良い効果をもたらす事業に使う資金を調達する債権で、「虎ノ門・麻布台プロジェクト」が建物だけでなく、開発エリア全体で環境性能の向上に取り組んでいることが高く評価された。

ヒルズがつながり、環境に優しい都心へと進化

東京の緑や生態をつなぎ 持続可能な未来を目指す
拡大・進化を続ける虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト

この「虎ノ門・麻布台プロジェクト」を含め、森ビルはアークヒルズ、愛宕グリーンヒルズ、六本木ヒルズ、アークヒルズ仙石山森タワー、虎ノ門ヒルズと、環境面で先進的な取り組みを行ってきた。これらの都市再開発は、東京の中心部・港区で重点的に行ってきており、各ヒルズはヒルズ同士だけでなく、皇居や日比谷公園、赤坂御用地、芝公園、浜離宮など、都内の公園・緑地とも緑や生態系をつなぐ役割を果たしている。これにより、人々に憩いや安らぎをもたらし、あらゆる生きものの移動なども可能とするエコロジカルネットワークを形成している。

このネットワークをさらに拡大させるのが、国際新都心・グローバルビジネスセンターへと進化を続ける「虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト」だ。愛宕山や愛宕グリーンヒルズなど、虎ノ門ヒルズエリアと隣接する緑をつなげることで、ネットワークを形成していく。2014年の虎ノ門ヒルズ 森タワーに続き、2020年にビジネスタワーが誕生し、東京メトロ日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅も開業。現在はレジデンシャルタワーとステーションタワーの建設が進められている。

環境面でも磁力を高める

これらにより、地下鉄と歩行者デッキ、環状二号線などをつなぐ交通ネットワークも充実。またビジネスタワー地下ではガスコージェネレーションシステムなどの自家発電システムと高効率熱製造システムにより、高性能・高効率なエネルギーネットワークが構築され、建設中のステーションタワーにも電気・熱が供給されるなど、持続可能な都市づくりを目指した取り組みが特徴的だ。

そして2023年、「虎ノ門・麻布台プロジェクト」と「虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト」が完成すると、各ヒルズと東京の緑や生態系とのエコロジカルネットワークはいっそう深まる。東京と都市環境の未来を見据えた各エリアの街づくりは環境面でも魅力を増し、東京はさらに磁力を高めていくだろう。

ヒルズがつなぐエコロジカルネットワークのイメージ
ヒルズと緑地や公園がつながり豊かな生態系を育む
六本木ヒルズ/毛利庭園
六本木ヒルズ/シジュウカラ
六本木ヒルズ/六本木さくら坂
アークヒルズ サウスタワー/斜面緑地
アークヒルズ/サントリーホール屋上
アークヒルズ/サントリーホール屋上
アークヒルズ 仙石山森タワー/こげらの庭に飛来したコゲラ
愛宕グリーンヒルズ/愛宕下通り沿い
虎ノ門ヒルズ/オーバル広場
虎ノ門ヒルズ/水浴びをするスズメ
エネルギー効率化でCO2排出量20%削減も可能に

「虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト」では、ビジネスタワーの地下に、人工知能(AI)技術を活用して電気と熱を供給するエネルギープラントを設置している。それにより効率的にエネルギーが利用でき、一般的な熱供給と比較して、CO2排出量を20%削減することが可能となっている。さらにステーションタワーにも電気・熱が供給され、環境に配慮し、防災性も高いエネルギーネットワークが構築される。

電気・熱の供給エリア

人と自然が調和するコンパクトシティ

時代に先駆けて実現した環境へのアプローチ
「ヴァーティカル・ガーデン・シティ(立体緑園都市)」

森ビルが理想とするのは、「職」「住」「遊」「学」「憩」などの複合用途を併せ持ったコンパクトシティ。そのために、細分化した土地を取りまとめ、建物を高層化することで緑豊かなオープンスペースを創出する、「ヴァーティカル・ガーデン・シティ(立体緑園都市)」の手法で都市づくりを進めてきた。

それは同時に、都市の環境問題に対する同社の解決手法でもあり、「都市と自然の共生」「都市の低炭素化」「資源循環」の3つを実現するものだ。建物を高層化することで創出したスペースには大規模な緑地を設けることが可能となり、多彩な都市機能の集積はエネルギー効率を高め、移動エネルギーを大幅に削減できる。さらに、資源リサイクルや物流の効率化が図れ、建物自体の耐用年数が長くなることで、ライフサイクルを通じた省資源化も可能となってくるのだ。

森ビルは、こうした環境面での取り組みを、時代ごとに最新の形で取り入れてきた。特に緑化については、1986年竣工のアークヒルズで、サントリーホール屋上などを活用した大規模な屋上緑化を実現。続く愛宕グリーンヒルズでは、愛宕山や芝公園など既存の緑との融合により地域の自然を継承している。六本木ヒルズでは毛利庭園などの歴史を継承した緑化に加え、街を彩るアートとの融合や、屋上緑化を地震時の免震に活用するなど先進技術との融合も展開。アークヒルズ仙石山森タワーや虎ノ門ヒルズでは、生物多様性の保全や回復に向けた緑地の創出や、近隣の緑地とつながる生態系に配慮した植栽計画が高く評価されている。

さらにエネルギー面でも六本木ヒルズでは、地下にコージェネレーションシステムによる自家発電所を設けてエネルギーの有効利用を推進。加えて、小売電気事業者を有する強みを生かし、2019年から入居テナントに再生可能エネルギー電気を供給する、国内初の取り組みを開始している。

都市づくりを通じた環境面で取り組みは、今後も森ビルの重要なテーマとして進化を続けていくだろう。

森ビルの街づくりにおける緑の進化と変遷
森ビルの街づくりにおける緑の進化と変遷
アークヒルズ
愛宕グリーンヒルズ
六本木ヒルズ
アークヒルズ 仙石山森タワー
虎ノ門ヒルズ