シンポジウム「自分の体はジブンで守る~健康な体を維持する免疫と核酸の可能性~

シンポジウムダイジェスト版

 栄養に関する研究が分子レベルで行われるようになり、栄養素が単に「体をつくるもの」「生きるためのエネルギー」から、健康を維持するため「体内でさまざまな調節を行う」といった「機能性」があることが次々と明らかになってきている。新型コロナウイルスの感染拡大により「免疫」に注目が集まるなか、13回目となる「これからの健康と栄養を考えるシンポジウム 自分の体はジブンで守る ~健康な体を維持する免疫と核酸の可能性~」が2月20日にオンラインで行われ、二木芳人・昭和大客員教授が新型コロナの現状についてゲスト講演を行ったほか、3人の専門家が免疫と核酸との関係などについて講演した。

にき・よしひと

1976年、川崎医科大卒。米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターに留学、倉敷第一病院呼吸器センター副センター長、昭和大医学部教授などを経て、2020年4月から現職。専門は感染症学、呼吸器病学。

感染「0次」予防が日本の強み 昭和大客員教授 二木芳人

 新型コロナウイルスの変異株が出てきて、不安な人も多いかもしれない。英国の変異株は感染力が1.7倍強いといわれているが、ワクチンは効くようなので、接種を通じて国内で広げないことが重要だ。南アフリカやブラジルの変異株のように免疫をかわして感染するようなものもあるが、変異株がこれ以上入らぬよう検疫をしっかり行う必要がある。

 日本では第3波の感染拡大により、入院調整中や自宅療養の人がものすごく増えた。集団感染がどこで起きているかを見ると、家庭内が多い。私の提案としては、①コロナ専用病院をつくるとともに、民間の病院で何ができるかを考え、役割分担する②自宅療養者を減らすため、大規模な宿泊療養の施設を確保し、そこで集中管理する―といったことを挙げたい。

人口100万人あたりの死者数を国別に比較すると、日本はかなり少ない。そこで、ノーベル賞を受賞した山中伸弥先生が、欧米人にない「ファクターX」があるのではないかとして複数挙げているが、その中のどれかということではなく、複合的な要因によるのではないか。

 私は、日本人しか持っていない「0次」予防の意識が大きいのではないかと思っている=図。感染症が流行すると通常、1次予防といってうがいや手洗いなどを徹底して、それでもだめなら2次予防として外出自粛など、さらにだめなら3次予防として緊急事態宣言などを行う。0次予防という概念は糖尿病や高血圧といった生活習慣病の分野で取り上げられているもので、子供のころから塩分や脂っこいもののとり過ぎに注意するとか、病気に関する教育をきちんとするとかいったものだ。日本人の強みであり、これらを生かしていければと思う。

日本(人)の感染予防「0次」対策
  • ・清潔な生活、社会、自然環境
  • ・清浄な飲料水、生活水の提供
  • ・衛生的で安全な食品の提供
  • ・衛生的な生活様式や民族的文化
  • ・感染症や公衆衛生に関する教育、啓発
  • ・優れた社会福祉、社会保障、医療提供体制
  • ・慎重(臆病)で忍耐強い国民性

※二木芳人客員教授の講演資料を基に作成

■ぜひワクチン接種を

 今後は、ワクチンも開発されたことから、時間はかかるもののウイルスが変異を重ねながら風邪のウイルスに変異し、一部で重症化するものの、ほとんどは軽症という形で最終的に落ち着いていくのではないかと予想する。

 ワクチンについては本来、開発に10年くらいかかるが、たった1年でできた。これまでの技術革新の成果で、ワクチンとしての性能も結構いい。安全性を心配する人もいるが、メッセンジャーRNAという遺伝子情報だけを入れたものなので、安全性は高い。仮にアナフィラキシーショックなどの副反応を起こしても、きちんと対処すれば命を落とすようなことはないので、ぜひ接種してほしい。すぐに効果が出るわけではないので、感染対策も徹底することで、コロナとの長い闘いに必ず打ち勝つことができると思っている。(注=内容は講演日時点のもので、状況が若干変化している部分もあります)

【オンライン参加者からの質問】

注射は嫌いだが、ワクチン接種を強制されることはないか?

二木氏 強制されることはないが、インフルエンザのワクチンよりも効きがよいので、積極的に接種を検討し、自分と他人、社会を守ってほしい。

講演動画

主催:産経新聞社 特別協賛:フォーデイズ株式会社 後援:ライフ・サイエンス研究所 協力:NPO法人KYG協会

(川口良介 撮影)