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イスラエル首相、求心力回復の兆し

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イスラエルのネタニヤフ首相=9日、エルサレム(AP)
イスラエルのネタニヤフ首相=9日、エルサレム(AP)

 【カイロ=佐藤貴生】イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの軍事衝突を受け、イスラエルの政治状況がネタニヤフ首相に有利な情勢に傾いてきた。同氏を首相職から追い落とすために中道・左派勢力との連携を模索していたユダヤ人極右政党の党首が、国内のユダヤ人とアラブ系住民の衝突が深刻化したことで方針を転換し、挙国一致政権の樹立を求め始めたからだ。

 3月23日の国会(定数120)選挙ではネタニヤフ氏率いる右派政党リクードが第1党となり、まず同氏が連立協議を行ったが過半数の賛同が得られず失敗。続いて第2党の中道「イェシュアティド」のラピド党首が連立協議を進めている最中に、戦闘が始まった。

 ハマスの越境攻撃を引き金に息を吹き返したのが、治安維持に定評があるネタニヤフ氏だった。

 選挙で7議席を獲得した極右政党「イエミナ」のベネット党首は、ネタニヤフ氏と同じく対パレスチナ強硬派の代表格だが、収賄疑惑が浮上したネタニヤフ氏には協力しないとして今回の連立入りを拒んでいた。

 しかし、ベネット氏は13日、ユダヤ人とアラブ系の住民同士の衝突激化を受けて、右派だけでなく、中道・左派勢力との連立協議も中断すると表明した。

 イスラエル有力紙ハーレツによると、同氏は、国内の治安回復のためには軍部隊の投入などが欠かせないとして、挙国一致政権の樹立を主張し始めた。

 左右両派ともにイエミナの協力抜きには連立政権は発足できず、ベネット氏が事実上のキングメーカーだ。しかし左右両派の政策には大きな差があり、ベネット氏が主張する挙国一致政権発足の実現は難しいとの見方が大勢を占める。

 政権が発足しなければ2019年4月以降で5回目の国会選が行われる公算が大きくなり、ネタニヤフ氏は当面の間、首相にとどまる道が開ける。

 同氏はユダヤ人右派の支持を集めるためにパレスチナ人の抗議デモに厳しく対処し、ハマスへの攻撃姿勢もしばらく緩めない可能性が高い。

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