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孤立を深めるパレスチナ人 中川浩一・三菱総合研究所主席研究員 

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中川浩一・三菱総研主席研究員(元アラビスト外交官)
中川浩一・三菱総研主席研究員(元アラビスト外交官)

 イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの軍事衝突について、元アラビスト外交官で三菱総合研究所の中川浩一主席研究員に聞いた。

 イスラエルとパレスチナの衝突の背景には、パレスチナ問題への国際社会の関心が低下し、孤立を深めるパレスチナ人の感情がある。イスラエルで対パレスチナ強硬派のネタニヤフ首相が長期政権を築く中で、双方の信頼関係が一層冷え込んだことも今回の事件の一因である。

 2014年以降、イスラエルとパレスチナの直接交渉は途絶え、米国のトランプ前政権は18年5月に大使館をエルサレムに移転させた。昨年8月以降はイスラエルとアラブ諸国が国交正常化を加速させ、パレスチナ人は置き去りにされたと感じた。

 衝突が起きた東エルサレムのイスラム教礼拝所「アルアクサ・モスク」はパレスチナ人にとり絶対譲れない一線で、00年9月にも当時、右派野党のシャロン党首が強行訪問し、第2次インティファーダ(反イスラエル闘争)が勃発したことが想起される。

 イスラエルでは今年3月にこの2年で4回目の総選挙が行われたが、勝者はおらず、5回目の選挙になる可能性が高い。今回、ネタニヤフ氏がパレスチナ自治区ガザへの空爆を一層強化すると表明したのは、自らの内政基盤固めと、中東から中国への戦略シフトを明確にしたバイデン米政権に対し、イスラエルとの同盟関係の重要性を再認識させる狙いがあると思われる。

 日本にとり、原油輸入の約9割を依存する中東の平和と安定は国益に直結する。日本は1993年以降、累計21億ドル以上のパレスチナ支援を行っており、このような時こそ日本が主導し、パレスチナ問題への国際社会の関心を高める外交が求められる。

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