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【千夜一夜】ワクチン接種にも腐敗

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 中東のレバノンで一部の政治家らが、医療関係者や高齢者を差し置き、新型コロナウイルスのワクチン接種を優先的に受けていた疑いが浮上した。接種は国会内で秘密裏に行われ、政治家らは接種希望者リストへの登録すらしていなかったという。

 財政が破綻状態にあるレバノンのワクチン接種を支援しようと、資金供与を計画していた世界銀行は「順番を守れ」と子供を叱るようなコメントを出し、供与停止を示唆した。

 ニュースを聞いたとき、ありそうなことだと思った。レバノンの政治家は自らの利益確保や保身に躍起だといわれて久しいからだ。

 昨年8月に首都ベイルートで起きた大規模爆発も、危険物を長年放置した政府の機能不全が一因とされる。爆発後に現地へ出張した際、一緒に働いた20代の男性は「政治家が汚職まみれという状況は変わっていない」と話した。

 政界は爆発やコロナ感染拡大という国家的危機にも懲りていないようだ。爆発当時の首相が引責辞任を表明して以降、正式な政権が発足しない状態で、国難を団結して乗り切るという熱意は感じられない。

 爆発直後、レバノンに乗り込んで腐敗の一掃を訴えた旧宗主国フランスのマクロン大統領もさぞあきれているのではないか。

(佐藤貴生)

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