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【主張】人権理への米復帰 抜本的な組織改革を急げ

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 米国がトランプ前政権時の2018年に離脱した国連人権理事会への復帰を表明した。理事国になるには選挙が必要なため、まずはオブザーバーとして参加する。

 米国の復帰を歓迎したい。ブリンケン国務長官は「欠陥のある組織で、議題や理事国、関心事項に改革の必要がある」としつつも、「適切に機能すれば、不正義や圧政と戦うための重要な議論の場になる」と述べた。外からの批判だけではなく、中に入って改革を目指す意義は大きい。

 人権理が取り組むべきは、非民主国家による「自己正当化」が横行する現状を阻む抜本的な組織改革である。人権理は「人権と基本的自由の保護、その促進」が使命だが、実際にはこれにふさわしい組織とはいえない。

 昨年の選挙では中国やロシア、キューバなどが選出された。少数民族や民主派を弾圧し、反体制活動家への毒殺疑惑が持たれるような国だ。それが相互に協力して票を集め、メンバーになるのだ。

 非政府組織「国連ウオッチ」によると、こうした非民主国家は人権理の6割を占める。その国家の目的は、国際社会からの批判をかわし、自国に不利な勧告や調査活動を阻止することにある。

 象徴例が18年3月に中国が提出した「相互に有益な協力の促進」と題する決議案だ。人権擁護の大切さをひとまず訴えながらも、各国の歴史的、文化的背景への考慮が必要とし、「人権による内政干渉」を牽制(けんせい)する内容だった。中国の影響力を受ける多くの理事国の賛成で採択された。人権理の理念とは相いれないものだ。

 最近もミャンマーの国軍によるクーデターをめぐる会合が開かれたが、中露は「ミャンマーの内政問題」として会合の開催に反発した。アウン・サン・スー・チー国家顧問らの即時解放を求める決議は全会一致で採択されたものの、「クーデター」の言葉が使われないなど妥協を強いられた。

 強権支配やその試みが相次ぐ今だからこそ、人権理が本来果たすべき役割が問われよう。ブリンケン氏は「米国が同盟・友邦諸国と協力して建設的に関与すれば、前向きの変革が実現可能だ」とも述べた。平和的デモや特定民族への迫害の調査を受け入れない国などは即刻排除されるルールを作るべきだ。日本も変革を担う当事者であることを忘れてはならない。

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