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ニクソン流のトランプ氏か、ケネディ流のバイデン氏か 米大統領選

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 米中西部ミネソタ州ミネアポリスでの白人警官による黒人男性暴行死事件を受け、人種問題が11月の大統領選の主要争点に浮上してきた。再選を目指すトランプ大統領(73)が「法と秩序の回復」を掲げて治安悪化への不安を抱く世論に訴えかける一方、民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領(77)はトランプ氏のデモ対応を「強権的」と非難。「大統領は人種対立を激化させている」とも主張し、警察の暴力に憤る世論の矛先を「打倒トランプ」に向かわせようと図っている。(ワシントン支局長 黒瀬悦成)

 CNNテレビが8日発表した全米世論調査によると、大統領選の争点として「人種問題」を重視するとの回答は68%に上り、「経済」77%、「医療」69%に続く上位につけた。

 大統領選で人種問題がここまで注目されたのは、公民権運動の嵐が吹き荒れた1960年代以来。当時も、人種問題にどう向き合うかが選挙の行方を大きく左右した。

 民主党のケネディ、共和党のニクソン両上院議員が対決した60年の選挙では、公民権運動指導者のキング牧師が抗議活動中に逮捕・勾留された際、ケネディ氏がキング氏の釈放に尽力したのに対し、ニクソン氏は積極的に動かなかった。この対応の差で黒人票が一気にケネディ氏に流れ、同氏の当選を決定づけた。

 一方、68年の大統領選では、同年4月にキング氏が暗殺されて全米で大規模暴動が起きたのを受け、ニクソン氏が「法と秩序」の回復を訴えて当選した。

 対照的な2つの事例は、大統領選において人種問題への対応に決まった正解はないことを示している。

 トランプ氏は、ニクソン氏ばりに「法と秩序」を打ち出し、平和的なデモを「国民の当然の権利」としつつ、暴徒による略奪や破壊行為は決して容認しない方針を鮮明にした。

 対するバイデン陣営や民主党指導部は、トランプ氏が1日にホワイトハウス前のデモ参加者を強制排除して教会を訪れたことを根拠に、同氏が暴徒だけではなく抗議デモ自体を敵視しているとの印象づけを図る。

 バイデン氏は9日、暴行死した黒人の葬儀にビデオメッセージを送り、ケネディ氏のひそみに倣うかのように黒人の差別解消と生活向上に向け寄り添っていく姿勢を強調した。

 米政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると、両者の対決を想定した平均支持率(10日現在)はバイデン氏49・6%、トランプ氏41・6%。先のCNN調査では、65%がトランプ氏のデモ対応を支持しないと答えた。

 これだけ見ると、流れはバイデン氏有利にもみえるが、トランプ氏の熱烈な支持層も依然、強固な結束を維持している。

 事件を機に民主党の急進左派などが唱える「警察解体」や「警察予算打ち切り」は今後、治安悪化を恐れる郊外在住者など穏健な無党派層の投票動向に影響を及ぼす可能性も高い。

 果たして勝つのはニクソン流のトランプ氏か、ケネディ流のバイデン氏か。人種という米国の重い懸案をめぐる戦いの行方は、まだ見えない。

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