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【国際情報分析】日米政府が腹の内探り合い 在日米軍駐留経費で情報戦 

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沖縄県金武町の米軍ブルービーチ訓練場で米軍との実動訓練を行う陸自の水陸機動団=2月9日(共同)
沖縄県金武町の米軍ブルービーチ訓練場で米軍との実動訓練を行う陸自の水陸機動団=2月9日(共同)

 米国と日本が2020年末の合意に向けて協議を進める予定の在日米軍駐留経費をめぐり、両政府が真意の探り合いを始めている。日米は口をそろえて「日米同盟はいまだかつてないほど強固だ」と断言するが、慣習にとらわれないトランプ米大統領の政権運営で、協議の着地点は全く見えていない。相手の腹の内を読み切れない両政府は、情報戦さながらの動きを展開している。(坂本一之)

 米国務省関係者は、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になる前、東京都内で菅義偉官房長官に近い政府関係者と会談。在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)について意見を交わした。

 思いやり予算は、日本に駐留する米軍の一部経費を日本が負担するもので、日米両政府が5年ごとに負担内容を決めて特別協定を結んでいる。

 現在の協定は来年3月に期限を迎えるため、今夏頃から事務レベルで協議に入る見込みだが、同会談では、どのような案が考えられるか意見を交わした。さらに米国務省関係者は、日本側で誰の意見が重要になるかを気にしていたという。

 思いやり予算の協議は、日本が外務省と防衛省、米国は国務省と国防総省などが中心になって行うが、今回はホワイトハウスが昨年、現行(1974億円)の約4倍の負担を日本側に求めたと米メディアが報じている。

 実際の協議を担う各省の関係者が相手の腹の内を探り、どのような交渉案をホワイトハウスや官邸に提案できるか情報収集をしている状況だ。

 これまで米国の国務省や米軍は日本の思いやり予算を高く評価してきた。

 日本政府関係者も「制度として増額できる部分は限られている」と指摘する。大幅増額は難しく、その必要性もこれまでなかったというのが基本的な立場だ。

 しかし、トランプ氏率いるホワイトハウスから出た大規模な増額要求であれば、国務省や国防総省にとっては何かしらの成果を出す必要がある。

 良好な日米同盟関係でも、大きな課題を抱えることになった両政府関係者は、在日米軍駐留経費をめぐる話題に関して緊張感を持つようになった。 

 こうした状況の中、今年1月に東京で開かれた日米安全保障条約の記念式典で、河野太郎防衛相が「日米同盟の価値は金銭では計れない」と語り、会場がざわついた。

 河野氏の発言についてある日本の閣僚は「増額要求には関係ない。同盟の価値の重要性を話しただけだ」と指摘するが、式典参加の一人は米国を牽制(けんせい)したと勘繰った。

 この河野氏の発言から数日後、ナッパー米国務次官補代理(日本・韓国担当)は日本メディアと会見。在日米軍駐留経費に関して「同盟諸国はさらなる貢献ができるし、貢献すべきだ」と述べ、日本に負担増を求める立場を示してプレッシャーをかけた。

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